第4話 祭りの順番

カノトさんと森へと向かう中、街の喧騒が大きくなり始めていた。

見れば、あちこちで人が忙しそうに走り回っている。

(どうしたんだろう?)

〇〇「何かあるんでしょうか?」

カノト「うん。あるよ!」

私の問いかけに、カノトさんは嬉しそうに答えてくれる。

カノト「年越しの大きな祭。年越しの儀。12の王族が交代で務めてる。その準備」

(大きなお祭りが年末にあるんだ)

カノト「去年から今年、未のヒノト兄。今年から来年、申のカノエ兄。その次、僕」

〇〇「もうすぐカノトさんの番なんですね」

カノト「そう。城にいること多い。けど、儀式の練習、勉強、してる」

カノトさんの瞳に、今までに見たこともないような真剣さが浮かんでいる。

カノト「酉の王族だから。自分の代、どんなことしようか考えるの、楽しい」

そう語るカノトさんの顔は、誇りに満ちているように思えた。

(少し大人っぽい……何だかドキドキして)

〇〇「まだ先ですけど……カノトさんが担当するお祭り、ぜひ観に行きたいです」

私の言葉に、カノトさんが少し照れた小さな声で……

カノト「ありがとう。 僕、城の外を知らない、でも〇〇、たくさん知ってる。 〇〇と出会えて嬉しい。 きっと〇〇がいれば、来年、僕にしかできない祭り、できそう」

(私がいれば?)

突然の言葉に瞬きを繰り返しながら……

〇〇「力になれれば嬉しいと思います」

カノト「なる。今、なってる」

自信たっぷりに言われて、私は頬が熱くなるのを感じた。

カノト「今の僕、まだ足りない。もっともっと、知る。知りたい」

たどたどしい言葉から、熱い心が伝わってくる。

(こんなに可愛らしい男の子なのに、中身は立派な王子様なんだ)

カノト「がんばる」

澄んだ瞳を真っ直ぐに向けられ、目がそらせない。

〇〇「……はい」

決意を受け取るように、私は笑みを返す。

すると、カノトさんもとびきり柔らかい笑みを浮かべた。

(綺麗……)

その笑顔を見ると、胸のときめきはますます増していくのだった…-。

 

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