第4話 混乱の地響き

突然の地響きに、周囲が混乱に包まれる中…-。

私はジークさんの腕にしっかりと守られていた。

〇〇「一体、何が起こったのでしょうか?」

私の声に、ジークさんが耳元で低い声を出す。

ジーク「おそらくですが、闘技場で捕えられていた巨大モンスターが脱走したのではないでしょうか?」

〇〇「えっ!?」

驚きに目を見開いた瞬間、彼の人差し指が私の唇の前に立てられる。

ジーク「どうかお静かに、不用意に観覧客に不安を抱かせてはなりません」

〇〇「……」

私は彼の冷静な判断に、黙ったまま頷いた。

ジーク「もし観覧客に被害が出ては大変なことになります」

〇〇「何か……私達にもできることはないのでしょうか?」

ジーク「私も、闘技場の方へ様子を見に行って参ります」

ジークさんは、腰に携えたレイピアの柄に手を掛ける。

〇〇「私も行かせてください」

ジーク「プリンセス!? 何を……」

アメジスト色の瞳が、驚きに見開かれる。

〇〇「ジークさん一人を、危険な場所に行かせるわけにはいきません」

ジーク「いけません! プリンセスに万が一のことがあったら……」

〇〇「でも……お願いします」

(ジークさんのことが、心配で……)

私はジークさんの険しい顔をひたと見つめ続ける。

ジーク「……わかりました。 ですがもし危険を感じたら、あなたはすぐに逃げてください」

〇〇「はい……!」

ジーク「それと、絶対に私の傍から離れないでください。いいですね、約束ですよ、プリンセス」

〇〇「はい、必ず守ります」

私の言葉を聞いて、ジークさんがゆっくりと首を縦に振る。

ジーク「では行きましょう、プリンセス」

彼はレイピアを抜いて、私を背に守るようにしながら闘技場へ駆け出す。

鼓動がうるさいほど胸の中で鳴り響く中……

私も彼の後をついて、走り出すのだった…-。

 

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