第3話 優勝賞品は……

オズワルド王子から依頼されたエッグレースのため、作戦会議を行った私達は……

ゴーシュくんの執事さん達と一緒に街の広場へとやってきた。

ゴーシュ「会場はここで決定だね」

子ども達が楽しそうに遊び回る広場を見ながら、ゴーシュくんが満足げに微笑む。

○○「この広場に、コースを作るの?」

ゴーシュ「うん。コースっていっても、ロープを引いたりして作る簡易的なもの。 その方が応援席とコースが近くなるからね。そうしたら、皆が一体化して盛り上がれるでしょ?」

執事「良い案でございます。優勝者への賞品はいかがいたしましょうか?」

ゴーシュ「うーん、そうだな……」

執事さんの言葉に、ゴーシュくんは目を閉じて考え込む。

ゴーシュ「何かあった方がいいんだろうけど……」

そんなゴーシュくんに、私は……

○○「えっと……ゴーシュくんの好きなものでいいんじゃないかな?」

ゴーシュ「おれの……?」

ゴーシュくんは私の顔を見た後、再び目を閉じて考え始める。

その時だった。

男の子1「ゴーシュさまー!!」

女の子1「ゴーシュさま!」

数人の子ども達が、こちらへ駆け寄ってきた。

ゴーシュ「ん?どうしたの?」

男の子2「今度の感謝祭で、エッグレースするって聞いたよ!」

女の子2「すっごく楽しみ! もちろんゴーシュさまも参加するんでしょ?」

ゴーシュ「え……」

周りを取り囲む子ども達に、ゴーシュくんが言葉を詰まらせる。

けれど……

ゴーシュ「そっか。おれが参加することは、考えてなかったな……。…………そうだ!」

○○「え……?」

ぱっとゴーシュくんの表情が輝いたかと思えば、彼は私を見てにやりと笑った。

ゴーシュ「優勝者への賞品は、○○からのキスだ……!」

○○「えっ……!?」

(キ、キスって……!)

女の子1「わぁ……キス!?」

男の子1「キスだってー! ひゅー!」

子ども達が、その場できゃっきゃと騒ぎ始める。

○○「あ、あの、ゴーシュくん。それは……」

ゴーシュ「駄目だって言うの? おれも参加して優勝するよ。だからキス、してくれるでしょ?」

ゴーシュくんは、楽しげに笑っているけれど……

(そ、そうは言っても、突然キスだなんて……)

○○「それは、ちょっと恥ずかしいよ……」

ゴーシュ「ふーん。あんた、大人なのに恥ずかしいんだ?」

○○「……!」

鼻で笑うゴーシュくんに、何も言えなくなってしまう。

(私がキスをしたところで賞品にならないような……)

そう思いながらも、自信満々なゴーシュくんを見ていると断れそうにもなく……

半ば諦めかけた私に、ゴーシュくんはそっと顔を近づけた。

ゴーシュ「あんたからのキス、楽しみにしてるから」

○○「っ……!」

まっすぐに私を見つめ、ゴーシュくんが楽しそうに目を細める。

その魅力的な笑顔から、私は視線を逸らすことができなかったのだった…-。

 

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