第1話 ゴーシュの再チェック

虹の国・オズ ウィンキー領 陽の月…-。

(ゴーシュくんに会うの、久しぶりだな)

賑わう街では、子ども達が楽しげに走り回っている。

その光景を和やかな気持ちで眺めていると…-。

??「よっ、○○」

○○「っ……!」

パチンと指を鳴らすような音が聞こえた次の瞬間、足元から不自然な風が舞い上がる。

私は、慌ててスカートを押さえつけるものの……

ゴーシュ「……なんだ、また白? 今度はもっとすごいの期待してるって言ったのに。 まあ、でも、これはこれで…-」

○○「ゴーシュくん……!」

ゴーシュくんは、初めて会った時のようにませた笑顔でニヤニヤと笑っている。

(もう……)

虹の国・オズは、『オズの魔法使い』と称されるオズワルド王子と、彼によって任命された複数の王子達が、それぞれの領を治めていて……

『西の魔法使い』と呼ばれるゴーシュくんが治めるこのウィンキー領には多くの魔法使いが暮らしている。

(ゴーシュくん、初めて会った時も魔法で私のスカートを……)

チェックと称してスカートをめくられた時のことを思い返し、頬がさらに熱を帯びてしまう。

そんな私の顔を、ゴーシュくんが覗き込み……

ゴーシュ「色っぽいやつじゃないのは残念だったけど……まあ、そのかわいい反応に免じて許してあげるよ」

○○「っ……」

(ゴーシュくんってば、相変わらず……)

(だけど、やっぱり憎めないんだよね)

ゴーシュ「それよりさ、今度の『感謝祭』のことなんだけど……」

ゴーシュくんの言う感謝祭とは、オズの国全体で行われる祭りのことで……

私は、ゴーシュくんと一緒に回る約束をしていた。

ゴーシュ「おれ、オズワルドに面倒なこと頼まれてるんだよね」

ゴーシュくんが、肩をすくめて短くため息を吐く。

○○「面倒なことって?」

ゴーシュ「感謝祭のために、エッグレースを開催しろってさ」

○○「エッグレース……?」

あまり耳慣れない言葉に首を傾げていると、ゴーシュくんは、特徴的な猫目を少し意地悪に歪めた。

ゴーシュ「知らないの? 卵をスプーンにのせて、落として割らないように競争するんだよ」

○○「そうなんだ。それをゴーシュくんが……」

得意げにエッグレースの説明してくれるゴーシュくんに頷きながらも、かわいらしいその表情に、私は心の中でそっと笑みをこぼしてしまうのだった…-。

 

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