太陽9話 その瞬間

ビッキー「……まさか。 だって、ケロタはいつだって呪いを恨んでいて……」

ビッキーさんは、自分に言い聞かせるようにそうつぶやく。

私は彼の手を取り、ぎゅっと力を込めた。

〇〇「離れられないのと、離れないのは違います。 ビッキーさんは素敵な人です。 どうして自分を……ケロタを、信じないんですか?」

ビッキー「……!」

ビッキーさんは驚いたように目を見開き……やがて部屋の外へと視線を向ける。

ビッキー「ケロタ……。 ケロタ、いるんだろ?」

ケロタ「……なんだよ、バカビッキー」

静かだった部屋の外から声がして、ドアの外からぴょこりとケロタが顔を覗かせた。

〇〇「!」

ビッキーさんは、静かにケロタの方へと歩み寄っていく。

やがてケロタの前で立ち止まると、そっと床に膝をついた。

ビッキー「……ずっと、聞くのが怖かったんだ。 僕……呪いが消えても、君に会える? さよならは……したくないんだ」

(ビッキーさん……!)

声は震えていたけれど……ビッキーさんはまっすぐにケロタを見つめている。

ケロタは大きく息を吐くと、わざとらしく腕組みをした。

ケロタ「いつになったら気づくのかと待ってたんだが……。 ビッキー、オマエのウジウジにはもうウンザリだ。 会いたければ、いつだって会える。 呪いがなくなっても、ワシとオマエは友達だろうが」

ビッキー「ケロタ……!」

ビッキーさんが微笑んだ、その瞬間……

まばゆい光が二人を包み込んだ…-。

 

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