第2話 子ども達と水の魔法

翌日…―。

私は城の方の案内で、オンディーヌの城下町へ見学にやってきた。

城の使い「こちらの塔から見える湖は、一族にとって神聖な場所になっているんですよ」

○○「神秘的な湖なんですね」

城の使い「長い歴史がありますから。 そして、こちらの右手の建物は、昔、先々代の王子が…―」

色々な場所を案内してもらい街を巡っていると、大通りの向こうから、シャオさんと数人の男性の姿が見えた。

シャオ「……」

シャオさんは私の姿を見つけると、遠くから会釈をして、こちらへ近づいてきた。

シャオ「○○さん、どうですか?オンディーヌの街は」

○○「はい、とても見所があって、楽しいです。 シャオさんはご公務の途中なんですか?」

シャオ「そうなんです。街の水路の様子を視察しに。 申し訳ないですね。本当なら、わたしがあなたを案内したいのに」

困ったように微笑むシャオさんに向けて、首を横に振る。

その時…―。

子供1「あっ、シャオだー!」

(……呼び捨て!?)

街角で遊んでいた子ども達の集団が、シャオさん目掛けて駆け寄ってきた。

子ども1「ねえねえ、シャオ―!遊んで遊んでー!」

子ども2「この前の空中にお魚さん飛ばすの、また見せてよー!」

シャオ「おやおや、元気な子達だね、ほらっ!」

彼が子どもに囲まれながら指を鳴らすと…―。

○○「……!」

足元にあった水路から、魚の形を取った水が、跳ね上がった。

そのまま、魚は中空で優雅に泳ぎ始める。

子ども1「わぁ!すごいすごい!」

子ども2「きゃはははっ!わ~~い!」

○○「すごいですね……魔法ですか!?」

子ども達と一緒になって喜び驚いていると、シャオさんが私を見てくすくすと笑った。

○○「め、珍しくて、つい」

(恥ずかしい……)

シャオ「いいんですよ、素直で素敵じゃないですか。 ふふ……っ、でもまさかあなたにまで喜んでもらえるなんて。 子どもと一緒に笑えるなんて、可愛らしい人なんですね」

顔を赤くしてうつむくと、シャオさんの鈴のような笑い声が青空に響いた…―。

 

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