第1話 水の精霊の長

精霊の国・セクンダティ オンディーヌ 陽の月…―。

水の精霊の力を受け継ぐ一族が住むオンディーヌ……

私は、先日目覚めさせたシャオさんに招かれて、オンディーヌの城へと訪れていた。

水路が張り巡らされた城の中庭では、瑞々しい花が咲き乱れている。

(オンディーヌって、本当にどこを見ても綺麗な国……)

思わず立ち止まってその景色に見とれていると、中庭の奥からシャオさんが姿を見せた。

シャオ「こんにちは!○○さんっ!」

柔らかな空気をまとうシャオさんにしては、どこか慌ただしい様子だった。

○○「シャオさん、お久しぶりです」

挨拶をすると、シャオさんは長い髪を風に揺らして微笑んでくれた。

透き通るようなブルーの瞳、そして清廉なせせらぎのように流れる髪。

(相変わらず綺麗な人……)

彼の麗しさに見惚れてしまっていると……

シャオ「せっかく来てくれたのに、なんだか落ち着かなくてごめんなさい。 ほら、私が長い間眠っていたせいで、水の精霊のゴキゲンを損ねてしまってですね……」

○○「そうだったんですか。それは、お忙しい時にすみません」

シャオ「ふふっ、謝らなくてもいいんですよ。 本当ならこの庭ももっと綺麗なんですけど、今は水の力がすっかり弱くなっちゃって。 せめて、ゆっくりしていってくださいね。もう少ししたら、わたしも時間を作れますから」

○○「はい」

返事をして微笑むと、彼の口元に浮かんだ微笑がさらに柔らかくなる。

シャオさんのその微笑みに、私は胸の奥が高鳴るのを感じていた…―。

 

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