精霊の国・セクンダティ オンディーヌ 陽の月…―。
水の精霊の力を受け継ぐ一族が住むオンディーヌ……
私は、先日目覚めさせたシャオさんに招かれて、オンディーヌの城へと訪れていた。
水路が張り巡らされた城の中庭では、瑞々しい花が咲き乱れている。
(オンディーヌって、本当にどこを見ても綺麗な国……)
思わず立ち止まってその景色に見とれていると、中庭の奥からシャオさんが姿を見せた。
シャオ「こんにちは!○○さんっ!」
柔らかな空気をまとうシャオさんにしては、どこか慌ただしい様子だった。
○○「シャオさん、お久しぶりです」
挨拶をすると、シャオさんは長い髪を風に揺らして微笑んでくれた。
透き通るようなブルーの瞳、そして清廉なせせらぎのように流れる髪。
(相変わらず綺麗な人……)
彼の麗しさに見惚れてしまっていると……
シャオ「せっかく来てくれたのに、なんだか落ち着かなくてごめんなさい。 ほら、私が長い間眠っていたせいで、水の精霊のゴキゲンを損ねてしまってですね……」
○○「そうだったんですか。それは、お忙しい時にすみません」
シャオ「ふふっ、謝らなくてもいいんですよ。 本当ならこの庭ももっと綺麗なんですけど、今は水の力がすっかり弱くなっちゃって。 せめて、ゆっくりしていってくださいね。もう少ししたら、わたしも時間を作れますから」
○○「はい」
返事をして微笑むと、彼の口元に浮かんだ微笑がさらに柔らかくなる。
シャオさんのその微笑みに、私は胸の奥が高鳴るのを感じていた…―。