第2話 シュニーの力

道に薄く残っている雪を踏みしめながら、街を越えてしばらく行くと…ー。

衛兵1「シュニー様!シュニー様がお戻りになられた!」

侍女1「お帰りなさいませ、シュニー様!」

彼の生まれたスノウフィリア城に到着すると、私たちは直ちに城の人々に囲まれた。

シュニー「ああ、みんな心配かけたね。変わりはない?」

衛兵「それが最近、雪があまり降らず。 フロスト様も外遊で、グレイシア様も相変わらず城にはあまりいらっしゃらないので……」

侍女1「スノウフィリアの雪の量が、少し減ってきています」

(フロスト?グレイシア?)

その名前を心の中で反芻していると…ー。

シュニー「なんだ、そんなこと……おい、お前」

○○「はい?」

シュニー「聞いたでしょ、雪、降らせて」

○○「え!?」

突然の発言に戸惑う私を見て、シュニー君がため息をついた。

シュニー「僕の下僕ならそれくらいはできるでしょ?」

○○「私がですか?!」

当然、といったように私を見ているシュニー君に…ー。

(い、意地悪されているのかな?)

(悪気があって言ってるようには見えないけど……)

○○「あ、あの……見本を見せてもらえますか?」

シュニー「ああ、そうだったよね、まだお前は新入りの下僕だもの。 いいよ、僕が特別にお手本を見せてあげる」

得意気に胸を張り、シュニー君が大きく頷いた。

シュニー君が天を仰ぎ、曇天に指先で円を描く。

すると…ー。

しばらくして、粉雪が地上に舞い落ちてきた。

衛兵「おお、スノウフィリアはやはりこうでないと!」

○○「……!」

(本当に雪が降ってきた……)

見たこともないようなパウダースノウに、雲から時折差し込む光が中空でキラキラと反射する。

シュニー「ね、どう?」

○○「すごいです! しかもとても綺麗……」

シュニー「これくらい当然だよ。だって僕は雪の国の王子だからね」

不意に、シュニー君が私から瞳を逸らす。

(あ……)

彼の柔らかそうな頬は、ほんのりと赤く染まっていた。

(シュニー君、照れてるのかな)

彼のその様子に、自然に笑みがこぼれてしまう。

○○「無事にお城に着いたし、じゃあ私はこれで…ー」

一礼をして、城の外に出ようとすると…ー。

シュニー「何言ってるんだよ。お前は僕の下僕だろう? ほら、行くよ」

シュニー君の小さくて白い手が、私の手を浮かんで、城の中へと歩き出す。

(……そういえば私、下僕として連れてこられたんだった)

しっかりと掴まれた手を振りほどくこともできず、私はシュニー君の後に続く。

彼が降らせた粉雪が、私の頬にふわりと舞い落ちてきた…ー。

 

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