月7話 愚かな奴ら

〇〇「シュニー君に手を出さないでっ!」

シュニー「お前……」

シュニー君を庇おうとして、私は両手を広げて男に立ちはだかった…-。

ナンパ男1「くそ……よくもやってくれたな」

見ると、ひょうまみれになっていた男が、ナイフを取り出して私に近づいてくる。

〇〇「……!」

ぎらりと光る刃に、息を呑むと…-。

シュニー「おい!」

腕が斜め下からぐっと引かれたかと思うと、シュニー君の小さな体が私を庇うように前に出た。

シュニー「召使いは、主人の許可なく勝手なことしちゃいけないんだぞ!」

男達の方を見据えたまま、シュニー君が力強く言い放つ。

シュニー「僕が何とかしてあげるから、お前はそこに隠れてろ!」

〇〇「シュニー君……」

ナンパ男2「おうおう、勇ましいことだねえ」

おかしくてたまらない、というように男達が笑っている。

ナンパ男1「じゃあ何とかしてみろよ、ガキが!!」

男が、ナイフをシュニー君めがけて振りかざす。

〇〇「シュニー君!!」

ほとんど悲鳴に近い声を上げた時…-。

シュニー「……!」

シュニー君が、右手を頭上に真っ直ぐに上げる。

すると……

ナンパ男1「な、なんだあ!?」

ナイフを持った男の手に、白い冷気が纏わりついていく。

みるみるうちに、男の手はナイフともども凍りついてしまった。

ナンパ男1「い、いてえっ!!!」

凍りついた腕をぶんぶんと振り回し、男は慌てふためいている。

シュニー「ふん」

〇〇「す、すごい……」

ナンパ男2「てめえ!」

その声に振り返ると、もう一人の男が再びシュニー君に殴りかかろうとしていた。

〇〇「やめて!」

私はとっさに、足下の雪を掴み、男にめがけて投げつける。

ナンパ男2「うわっ!?」

雪は見事に男の顔面に当たり、その衝撃で男がよろめいた。

シュニー「余計なことするなって言ってるのに」

腰に手を当てながら、シュニー君がため息を吐く。

〇〇「でも、シュニー君が怪我をするのは、嫌ですから」

シュニー「ふん……助かったよ」

〇〇「え?」

ぽつりとシュニー君がつぶやいた時…-。

ナンパ男2「お前……もう許さねえからな」

先ほどよりも怒気をはらんだ声で、男が顔面の雪をはらいながら、再度私に向き直る。

シュニー「こいつに手を出すな!こいつは僕の…-」

(え……)

その言葉が聞き取れないまま、シュニー君が再度、右手を真っ直ぐに上に振り上げるのが目に入った…-。

 

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