月7話 得意げな彼

おばあ様の誕生パーティーは、リッツさんの考えた通り、とても盛大なものとなった。

会場は私の提案が取り入れられ、おばあ様の大好きな花でいっぱいに溢れている。

王太妃「まあ……嬉しい」

大勢のお客様が集まり、お祭りのような華やかさが会場を包む。

兵士達「王太妃殿下! お誕生日おめでとうございます!」

貴族達「おめでとうございます!」

たくさんの人達が、次々にリッツさんのおばあ様をお祝いする。

王太妃「こんなにお城の中が賑やかになるのは、あの人がいた時以来ねぇ」

おばあ様の目尻に、優しい笑い皺がつくられる。

おばあ様の様子に、リッツさんもこの上なく嬉しそうな笑顔を見せた。

リッツ「ほら、こんなこともできるんだ!」

リッツさんが得意げに指を鳴らすと、花火のようにその場で雷が小さく弾けた。

〇〇「綺麗……雷を見て楽しく思ったなんて、初めて」

雷の魔法に夢中になっていると、おばあ様が近づいてきた。

王太妃「なんだか懐かしくなるわね……亡くなったあの人もリッツに似て、楽しいことが大好きだったわ。 ああやって、みんなに囲まれて人気者なのもそっくり」

〇〇「王太妃様……」

にこやかに微笑む様子に、私も笑顔で応える。

すると人々の輪の中から、リッツさんがこちらへやってきた。

リッツ「おばあ様、〇〇、楽しんでくれてる!?」

王太妃「もちろんよ、リッツ」

〇〇「はい! 雷がこんなに綺麗なものだなんて、思ってませんでした。 皆、楽しそうで……リッツさんの魔法、すごく素敵ですね」

リッツ「……っ!」

思ったままの感想を連ねると、リッツさんの頬が赤くなった。

(あれ? どうしたのかな)

すると横から、おばあ様が上品な笑い声を響かせる。

王太妃「ふふ……素直なお嬢さんなのね、リッツが赤くなるのもよく分かるわ。 リッツ、〇〇さんのこと、これからも大事になさいよ」

リッツ「……おばあ様こそ、長生きしろよな」

ぶっきらぼうに紡がれたリッツさんの言葉に、おばあ様はまた声を出して笑った。

こうして……

誕生日パーティーは最高の盛り上がりを見せるままに幕を閉じたのだった…-。

 

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