太陽7話 カミロの裁判

カミロさんが囚われている牢屋から出た後、なんとか潔白を証明しようとしたけれど……

彼の部下や城の人達も突然の事態に混乱していて、私の話を聞く所ではなかった…―。

(このままじゃ、カミロさんが……)

ー----

カミロ「見本となるべき俺が規則を破ることはできない。隙があったのは自分の責任だ。俺は裁きを受ける覚悟をしてる」

ー----

力になりたいと、その衝動に突き動かされる。

(どんなに辛いか……)

カミロさんが牢屋で一人の夜を過ごすと思うと、いたたまれない気持ちが込み上げてくる。

その時…―。

○○「え、今の子……」

人ごみの中の通りすがりだったけれど、すぐにそれとわかる。

(あの時……ぶつかってきた子だ!)

確信を持って、私はすぐに追いかけた。

……

○○「待って……!」

私は彼の前まで全力で走っていくと、立ちふさがるようにして声をかける。

少年「なんだよ、あ、あんた、カミロと一緒にいた女だな」

(カミロさんのことを知ってる。やっぱりこの子が……)

思わずきっと睨むけれど、相手は怯む様子もない。

○○「どうして、あんなことしたの?」

少年「何のことだい」

○○「とぼけないで……!」

真っ直ぐに見据えると、少年は居直るように手を頭の後ろに組んだ。

少年「あいつが俺の兄さんを捕まえたからだ。そういえば兄さんの裁判のときに、あんたもいたな」

(じゃあ、兄さんって、あのとき逃げた人……?)

少年「俺は復讐してやっただけだ。とやかく言われる筋合いはねえよ」

そう言うと、私に肩をぶつけながら、通り過ぎようとした。

○○「待って。カミロさんが悪いと思ってるなら、裁判に来てくれないかな?行けば、彼がどんな人かわかるから」

少年「あんた馬鹿なのか?誰がわざわざ捕まりに行くってんだ」

○○「カミロさんは、あなたのことを言ってない」

少年「え…―」

○○「自分の落ち度だって言ってる……でも……そんなのは、間違ってる……お願い!」

必死に頭を下げてお願いを続けると、彼はしぶしぶ頷いてくれた。

少年「……約束しろ」

○○「え?」

少年「俺のことを突き出さないって」

○○「……」

(今、何を言ってもきっとダメだ。でもカミロさんのことを知れば……何か変わるかもしれない)

そんな望みをかけて、私は小さく頷いた…―。

数日後……

カミロさんの裁判が開かれる日となって、私は例の少年と一緒に傍聴席に座る。

裁判官「それでは被告カミロの裁判を始めます」

開始を告げる木槌が鳴らされ、裁判官が入廷してきた。

(カミロさん……少しやつれたかも……)

その姿を見て、ぎゅっと手のひらを強く握り締める。

……

しばらくのやりとりの後……

裁判官「最後に言いたいことがあれば述べてください」

カミロ「俺の罪は油断したことだ。そのためにこうして捕縛され、国の秩序を守る勤めができない。そのことを、今、とても悔いている」

カミロさんは濡れ衣を着せられているという素振りを見せず、誰を恨む様子も無く堂々と立っていた。

(こんなに責任を感じて……人を責めもしないで)

少年「あいつ……オレを責めないんだな」

○○「そうだよ。だってこの街を守ることが勤めで、あなたを糾弾することが勤めじゃないから」

少年「なんでだよ……どうしてそんなことができるんだ?意味わかんねえ」

○○「カミロさんはこの国と人の平和を心から願っていて……自分に厳しくて、他人に優しい人なんだよ。だから誰のせいにもしないし、恨んだりすることもないんじゃないかな」

少年「……」

不意に、彼が椅子から腰を上げた。

○○「どこに…―」

少年「心配しなくても、逃げねえよ」

そう言うと、少年は裁判官の前へ歩み出ていった。

カミロ「お前は……!」

少年「悪かったよ」

人々のざわめきが、大きさを増していく。

(良かった。これできっとカミロさんは釈放されるはず……)

その時、少年と何かを話していたカミロさんが、私の方を見た…―。

 

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