月7話 濡れ衣の顛末

カミロさんに濡れ衣を着せた少年は捕まり、今は取り調べが進んでいるらしい。

今日はその報告に、カミロさんが私の部屋を訪れていた。

○○「それじゃあ、あの少年は……」

カミロ「ああ、以前に俺が捕縛した男の弟だったらしい」

○○「そうだったんですか……」

カミロ「最初から俺を狙ったんだろう」

そう言った後、少し視線を床に落とし、カミロさんは黙り込む。

カミロ「…………」

(カミロさんは正しいことをしてるだけなのに……それでも恨みを買ってしまう)

そのことを思うと、胸が軋むように傷んだ。

カミロ「うまくはいかないな。これじゃあ、まるで俺のしたことが新しい悪事を呼んだようだ」

自嘲するように苦笑する顔を見て、激しく首を振った。

○○「! そんなことありません……!だって、カミロさんは皆を守るために頑張ったんですから。だから…―」

言い募る私を見て、カミロさんは驚いた顔をした後、ふっと表情を和らげる。

カミロ「どうしてオマエが泣きそうな顔をしてる……」

○○「え……」

(私……そんな顔してたの?)

カミロ「自分で気づかなかったのか?」

○○「私はただ、カミロさんが落ち込んでいるんじゃないかって……」

指摘されたことが恥ずかしくて、頬を両手で包んだ。

指先に触れる目尻が熱い。

○○「ごめんなさい。私、出過ぎたことを……」

うつむいて言うと、カミロさんが一歩近づいた。

それに視線を上げると、真っ直ぐ過ぎるほどの眼差しにぶつかる。

急に、体温があがった感じがした。

カミロ「ありがとう。誰よりもオマエにそう言ってもらえるのが嬉しい」

○○「カミロさん……」

カミロ「正直、気落ちしていたんだ。仕事のやり方を悩んだり……」

(やっぱり、堪えてたんだ)

カミロ「なのに……オマエが言ってくれた言葉で、不思議なくらい肩が軽くなった」

○○「……っ」

嬉しい言葉に、頬にまた熱が集まる。

カミロ「ここに来て良かった。また仕事と向き合えそうだ。では、失礼する」

さっと身を翻して、カミロさんは部屋を出ていく。

ふわっと残り香のように、一枚、真っ白な羽根が落ちてきた。

○○「あ……」

私はその白木蓮の花びらに似た羽根を掴むと、そっと胸に抱き締める。

今去っていった人の温もりを感じるような気がして…―。

 

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