第4話 蝶を探して

グウィード「これから、ゲームの時間なんだ◆」

暗闇の中、耳元でグウィードさんが囁く。

(え……?)

グウィード「僕がここに来たのは、ティアラのためじゃないんだ◆」

○○「それじゃあ、いったい何のために……?」

グウィード「ふふ、気になるかい? それじゃあ、子猫ちゃんにだけは特別に教えてあげよう♪ 実は……。 このパーティのマスターに頼まれて、ゲームの仕掛け人として来たんだよ♠」

○○「そうだったんですね……」

(だから、ティアラの見える場所や、蝶の飾りのことをよく知っていたんだ)

暗闇の中、スポットライトが主催者を照らす。

主催者「これよりちょっとしたゲームを行いたいと思います。どうぞ皆様お楽しみください」

主催者の言葉に、会場の人々が歓声を上げた。

そして再び暗闇になったかと思うと、すぐ傍にスポットライトが当たる。

光に照らし出されたのは、隣にいたグウィードさんだった。

(グウィードさん……?)

スポットライトの下で、彼は大仰に両手を広げる。

グウィード「どうやら宴の楽しさに惹かれて、蝶達が騒ぎ始めたようです」

グウィードさんが腕を振り上げると、暗いホールに色とりどりの蝶達が舞い始めた。

(すごい……綺麗)

蝶達は体から光を発し、色鮮やかな羽を広げて、人々の手元へ降り立った。

グウィード「皆様にとまった左右の羽の模様が違う蝶。その蝶と同じ羽の蝶を持つ人がこの会場におります♠ そのお相手が、今宵、あなたの最初のダンスのパートナー◆ さあ、どうぞ対になる蝶を探してください◆ きっと蝶が、皆様を導くでしょう♪」

グウィードさんが恭しくお辞儀をすると、再びホールに暗闇が戻る。

招待客は淡い蝶の輝きを頼りに、蝶を探し始めた。

(この蝶と対になる蝶か……)

私の胸にも、一匹の蝶がとまっている。

青い羽と黄色の羽を持つ美しい蝶…―。

(対の蝶はどこにいるんだろう……?)

○○「あの、グウィードさん…―」

彼に話を聞きたくて振り向くけれど、もうそこには彼の姿はなかった。

(またいない……)

一人取り残され、私は蝶探しに歩き始める。

周りの様子を見ていると、蝶は対の蝶の近くにくると、飛び立って教えてくれるらしい。

(じゃあ、私の蝶も対の蝶の近くに来たら飛んでくれるのかな?)

その光景を想像して、期待に胸が膨らんでいった…―。

……

庭に探しに出て、辺りを見渡す。

周りでは相手を見つけた人々が、お互いの話をしている。

(私の相手は、どこにいるんだろう)

そう思った時、一人の男性の姿が私の頭に過ぎる。

○○「グウィードさんが相手ならいいのに……」

つい声に出してつぶやいてしまい、慌てて口元を覆った。

けれどその時…―。

グウィード「子猫ちゃん、お相手は見つかったかな?」

○○「っ……!」

思っていた人が突然そこに現れ、胸が高鳴る。

○○「グウィードさん……!?」

その時、私の胸から優雅に蝶が飛び立った。

(え? ……もしかして)

蝶は、まっすぐにグウィードさんの元へ飛んでいく。

まるで、そこに待ち望んだ花があるかのように…―。

 

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