第2話 飾りを結んで

私とグウィードさんの間を風が吹き抜けた。

彼はゆっくりと私の方へと歩いてくる。

グウィード「驚いた顔をしているね◆」

○○「はい……とても」

(リボンのこともだけど、まさかグウィードさんに会えるなんて思わなかった……)

グウィード「このリボンはちょっとイタズラ好きのようだね◆ もしかして、かわいい子猫ちゃんを驚かせたくなったのかな?」

グウィードさんが蝶の飾りを見つめる。

さっきまであんなに自由に舞っていたそれは、今は静かにグウィードさんの指にとまっていた。

グウィード「結んであげるよ♠」

○○「え?」

私が返事をする前に、グウィードさんは触れてしまうと思うくらい近くに寄ってくる。

(ちっ……近い……)

○○「あのっ……グウィードさん?」

少し身を引いて、慌てて彼を見上げた。

けれど彼は気にした様子もなく、蝶の飾りを私の手首に巻きつける。

(いい香り……これは、グウィードさんの……?)

甘く誘うような花の香りを感じて、少しだけ息を止めた。

○○「……!」

彼の少しだけ冷たい指先が手首に触れて、思わず手を震わせた。

(顔が熱い……きっと真っ赤になってる)

(グウィードさんに気づかれなければいいけど)

グウィード「うん、よく似合っているよ◆」

○○「ありがとう……ございます」

グウィード「いいえ、どういたしまして。顔が真っ赤な子猫ちゃん◆」

○○「……っ!」

グウィードさんに顔を覗き込まれて、頬がさらに熱くなっていく。

そんな私を見て、彼は面白そうに笑った。

(遊ばれている気がする……)

彼はそれ以上何も言わず、私に右手を差し出した。

グウィード「子猫ちゃん、中へ入ろうか♪」

○○「……はい」

グウィードさんの手を取り、私は煌びやかな建物の中へと足を踏み入れる。

○○「綺麗……!」

パーティホールへ通されると、私は感動のあまり、ため息を吐いた。

幻想的な灯りの中で、招待客が身につけた蝶が淡い光を放つ。

○○「すごいですね。まるで星を散りばめたみたい」

あまりの美しさに、私はまばたきをするのも忘れて、ホールを眺める。

すぐ傍で、グウィードさんの小さな笑い声が聞こえた。

グウィード「その様子だと、パーティは楽しめそうだね♠」

○○「はい!」

グウィード「それはよかった」

そう言うと、彼は私から離れて向き直る。

○○「グウィードさん?」

グウィード「じゃあ存分に楽しんでね、子猫ちゃん◆」

○○「え? あ…―」

別れを告げると、すぐに彼の姿は人々の中にまぎれ消えてしまった。

○○「行っちゃった……」

(もう少し一緒に話せると思ったのに)

一人取り残され、ほんの少し寂しさを感じる。

○○「……せっかく招待状をいただいたんだから楽しまないと」

背筋を伸ばすと、私はフロアの中央へと足を踏み出す。

幻想的な光が、きらきらとホールを彩っていた…―。

 

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