月5話 ダンスのお相手

私の蝶が、グウィードさんの元へと飛んでいく。

(もしかして……)

ひらひらと舞う蝶を見つめながら、期待で胸が膨らんでいく。

けれど…―。

(あ……)

蝶はグウィードさんを通り越して、後ろに立っている男の人の方へ飛んでいく。

彼からも、私の蝶と同じ蝶が飛び上がった。

○○「ダンスの……お相手の方……」

二匹の蝶が楽しそうに舞い踊るのとは反対に、私の気分は沈んでいく。

パートナー「お相手をお願いできますか?」

男の人が、私に手を差し出してくれる。

けれど私は、その手を取ることをためらってしまう。

(グウィードさんが見ている前で、私……)

グウィード「行っておいで、子猫ちゃん」

私の背中を押したのは、グウィードさんだった。

○○「はい……」

彼に言われるまま、私は男の人の手を取った。

胸に鈍い痛みが広がっていった…―。

 

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