第1話 木漏れ日の再会

泡沫の国・アフロス 蒼の月・・・-。

この時期、世界中の王族達がこのアフロスの地に招かれる。

古から伝わる婚宴の儀により、神々からの祝福を受けるためと聞いていた。

私も、儀式に招待を受けてこの地へとやってきていた。

(いい天気)

神殿へ向かう途中、立ち並ぶ木々の隙間から木漏れ日がきらきらと輝いていた。

(本当に綺麗・・・・・・それになんだか神秘的)

(・・・・・・『木々の葉をくぐり粒となった光が、私と彼女に降り注ぐ』)

(『たったそれだけのことでも、私にはこの上ない幸せを感じることができた』)

私はシャーロット文学賞を受賞した藤目さんの小説、『木漏れ日の恋』の一節を思い出した。

(藤目さん、お元気かな?)

藤目さんは、文壇の国・東雲の王子で、王子でありながらも恋愛小説を書く作家でもあった。

(とても素敵な物語だったな)

木漏れ日に気を取られていると、儀式の時間が差し迫っていた。

(いけない。急がないと・・・・・・!)

儀式が行われる神殿へと急いでいると、目の端に見覚えのある姿を見つける。

(あれは・・・・・・藤目さん!?)

白い礼服を身にまとった藤目さんが、木漏れ日の中、真剣な顔で本を読んでいた。

○○「あの・・・・・・藤目さん?」

私が声をかけると、藤目さんはゆっくりと顔を上げた。

藤目「○○さん」

本の世界から戻ってきたばかりの彼が、私に優しく微笑みかける。

藤目「不思議ですね。今、貴方のことを考えていました」

○○「えっ・・・・・・」

藤目「新しい物語の構想を練っていたんです。その主人公が自然に貴方に似てしまって・・・・・・」

○○「私にですか?」

藤目さんはメモをとっていた紙を広げて、私に見せてくれる。

藤目「素直で優しくて・・・・・・とても魅力的な主人公なんですよ」

神殿への道には、変わらず木漏れ日がきらきらと降り注いでいる。

まばゆいその光景に、私は思わず目を細めた・・・-。

 

第2話>>