太陽7話 新たな力

駆け出そうとするトールくんを、私も反射的に追いかけようとした。

だけど…ー。

トール「アンタは待ってろと言ってるだろ」

振り返ったトールくんに、押しとどめられる。

○○「だけど、トールくん一人でなんて……」

トール「心配するな。俺は絶対負けない」

○○「トールくんが強いのはずっと見ていたからわかります。でも…ー」

トール「そうじゃない」

○○「え……?」

首を振った後、トールくんがそっと私の頬に触れる。

トール「俺はずっと一人で戦ってきた。国を守るなんてことも……本音を言うと、意識していなかった。 俺の使命はヨルムンガンドを倒すこと…ーそれが果たせれば充分だ。 だから、ただ戦うことだけを意識していた。そうすれば、結果として国を守ることに繋がる。 ……独りだって、構わなかったんだ」

○○「トールくん……。 ごめんなさい。やっぱり私、ご迷惑でしたよね……」

トール「いや、そんなことはない」

トールくんは晴れ晴れとした笑みを口元に浮かべ、私の作ったサンドイッチを取り出し、それを一気に食べると、目を細めた。

トール「……悪くないな、こういうのも」

○○「トールくん……?」

トール「アンタにすべてを背負わせるのは嫌だと言われた時、気持ちが楽になったんだ。 肩の力が抜けて体が軽くなった。これなら……今までよりも自由に動ける。 独りじゃないからこそ、強くなれる……アンタが俺に教えてくれたんだ」

○○「……っ!」

トールくんが笑みを浮かべながら私の髪を撫で、そのあまりに無邪気な笑顔に、鼓動が大きく跳ねてしまう。

トール「ありがとう。まあ不味くはなかった。 だから……俺が帰ってきたら、また作ってくれ」

○○「はい……いくつでも作ります!」

トール「ああ!」

??「ギャオオオオオオオオ!」

遠くに、モンスターの雄叫びが聞こえる。

トール「……来たな、ヨルムンガンド。今日こそこの因縁を断ち切る!」

ミョルニルを手にしたトールくんが勢いよく駆け出す。

その背中は今までよりも逞しく感じられた…ー。

 

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