月5話 修復された水鏡

その夜…―。

儀式が中止となり、帰るべきか悩んでいた私の元に、水鏡が修復されたという知らせが届いた。

(修復されたって……ユーノさんの心に何か変化が?)

ユーノさんが祭壇で待っていると使用人の方に告げられ、私は慌てて宿泊先を出た…-。

水鏡には、月のおぼろげな光が注がれている。

(儀式用の恰好で来てほしいってことだったけど……どういうことなんだろう)

純白のドレスをまとい、ゆっくりと水鏡へと歩みを進める。

すると、水鏡の前でユーノさんがたたずんでいた。

〇〇「……」

青白い月明りに包まれたユーノさんがとても儚げで、私は声をかけられずにいた。

ユーノ「……〇〇様」

入り口で立ち尽くしていると、ユーノさんがこちらを振り返る。

穏やかな笑みを浮かべる彼に、私は安堵の息を吐き出した。

(よかった……)

ユーノ「昨日は申し訳ありませんでした。せっかくお見舞いに来てくださったのに」

〇〇「いえ、私なら大丈夫です。それより水鏡が直ったと聞きました」

ユーノ「……ええ」

その時…-。

(え……?)

ざわりと、周囲の空気が変わった気がした。

ユーノ「君に、真っ先に伝えたかったのです」

ユーノさんはにこりと口の両端を上げる。

けれど、その目はどこか冷たい光を湛え、私を見据えていた。

(ユーノさん?)

その表情に、なんと話しかけていいかわからず私は口をつぐむ。

まるで魔法にかけられたように、私はその場から動くことができなかった…-。

 

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