第5話 花畑もいいけど

レストランでの一件があった翌日…―。

昼下がりになり、暖かな陽の射す花畑へと出かけた。

○○「今日は本当にいい天気……。 やっぱり昼間はこの花畑で過ごすのが一番だね」

アルマリ「うん……」

○○「……?」

アルマリは花畑に横になって、ずっとまぶしそうに空を見上げている。

(アルマリ、昨日からずっと何か考え込んでいるような……)

彼は手を太陽にかざし、ガラスのように澄んだ色の瞳を細める。

○○「ねぇ、アルマリ?」

アルマリ「ん?」

振り向いた彼の瞳の奥には、やっぱり何か戸惑いのようなものが見える気がして…―。

○○「疲れてるなら少し休む?」

アルマリ「うーん……お昼寝するのもいいけど、僕は起きてたい。 こんなに風が気持ちいいのに、なんだか眠れないんだ」

○○「……」

アルマリの顔をじっと見つめながら、彼の言葉の続きを待つ。

すると……

アルマリ「○○、そんな顔しないで?」

○○「あ……」

白い指先が伸びてきて、私の頬を優しくくすぐる。

柔らかに微笑みかけられると、なぜだか胸が苦しくなった。

○○「アルマリ……。 えっと……風、本当に気持ちいいね」

胸が騒がせる気持ちを誤魔化すように、私は彼にかける言葉を必死に探した。

アルマリは上半身を起こし、花畑の続く広い庭園をただ眺めている。

アルマリ「いつも通りの花畑も好き……。 こうして、ほら君の笑顔も近くで見られるし……」

○○「アルマリ……」

私に向けられたアクアマリンの瞳が、陽光を反射してまばゆく煌めいた。

(まぶしい……)

アルマリ「でも……」

不意に、彼の表情が真剣さを帯びる。

いつもの柔らかさとは違うその表情に、胸トクントクンと音を立て始めた。

○○「アルマリ……」

(何を思っているの?)

彼の小さな唇が何かを迷うように何度か開閉を繰り返した後……

アルマリ「あのね、僕…―」

ようやく紡がれた声を聞き洩らすまいと、私は耳を澄ませた…―。

 

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