2023-07

通常ストーリー

月SS 君を守る

工事の怠慢のせいで転んでしまった〇〇さんを追って、城へと戻ってきた後…―。 イラ「……怒ってごめんね。開けてくれる?」 (〇〇さんが怪我をしてしまうなんて……) (……許せない) 彼女のひざから血がにじんでいたことを思い出し、奥歯を強く噛み...
通常ストーリー

月最終話 繋いだ手

イラ「膝から血が……!」 転んだ私を抱き起したイラさんが、悲痛な声をあげる。 イラ「護衛、この道は先週舗装されたばかりだったよね?」 護衛「はっ、つい3日前に舗装が終了したと聞いております」 イラさんは、私を横抱きに抱き上げたまま下ろそうと...
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月5話 イラの怒り

昼下がりの太陽が石畳の地面に長い影を作っている。 城への帰り道、私とイラさんは手を繋いで歩いていた。 イラ「歩いてるだけなのに、楽しいな。 誰かと手を繋いで歩くのは、生まれて初めてだ」 楽しげな彼の口から驚くような言葉が溢れ、思わず立ち止ま...
通常ストーリー

太陽SS 消えないように

鳥によってつけられた、〇〇さんの傷を見た瞬間…… 体の奥底から、ふつふつと怒りが湧き上がってきた。 (駄目だ……抑えられない) (また、恐れられるのか) (また、一人になるのか) 憤怒の情から解き放たれた後は、大抵遠くから恐ろしげに僕を見つ...
通常ストーリー

太陽最終話 目隠しの奥に

イラさんに目隠しをして、しばらく経った頃…… 護衛「イラ様が……イラ様が、3度目のイラ様を発動なさらなかった……!」 静まり返っていた庭に、歓喜の叫び声がこだまする。 イラ「〇〇さん……」 そっと目隠しを取ると、イラさんが呆然と私を振り返っ...
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太陽5話 目隠し

午後の穏やかな風が、イラさんの羽根を揺らす…-。 城へと戻った私達は、テラスで午後のお茶を楽しんでいた。 イラ「いい風だね……」 イラさんが穏やかに目を細め、頬に風を受ける。 (ほんとだ) 私もそっと目を閉じた、その時…… イラ「〇〇さん、...
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第4話 素顔の彼

窓の外で鐘が鳴る。 イラ「……本当にごめんね」 その音が合図になったように、イラさんが重い口を開いた。 イラ「僕の中には、いつも憤怒の炎が渦巻いているんだ。 自分が恐ろしいよ……。 だから、キミが恐ろしいと思うのも無理はない」 イラさんは、...
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第3話 憤怒の情

静まり返った室内で、窓を揺らす風の音がひどく大きく聞こえる…-。 イラ「ナイフと針はまだですか? 私はあまり気の長い方ではないのですよ」 イラさんの冷たい微笑みが場を支配し、皆一様に凍ったように動けずにいる。 (イラさん……?) イラ「おや...
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第2話 3度目のイラ様

霧が立ちこめる街に、鳥の鳴き声がこだましている…-。 〇〇「あの高い塔は何ですか? すごく綺麗ですね」 周囲の大勢のおつきの方に囲まれてイラさんに街を案内してもらっていると、一番高い塔を見つけた。 イラ「……ああ、あれか。 あれは……学校み...
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第1話 穏やかな昼下がり

罪過の国・ヴォタリア 奏の月…-。 冷たい空気が窓を白く染める、霧深い昼下がり…-。 イラ「ようこそ、〇〇さん!」 私は、イラ王子に招かれて、罪過の国・ヴォタリアを訪れていた。 イラ「罪過の国なんて怖い名前だから、来るの怖かったでしょ?」 ...