太陽7話 伝えたいこと

万里『違うんです!』

(万里くん……)

万里『実は前から、ずっと愛の日に君と会いたいと思っていました』

―――――

(それって……もしかして)

その答えを求めるように、口から自然と言葉がこぼれた。

〇〇「……万里くん、ずっとそわそわしていたようだったので。 可愛いものが多いから、わくわくしてるのかと思っていました……」

万里「……」

私の手を握る万里くんの指先が微かに小さく揺れる。

万里「確かにこの街は私の好きなものが多く……でも、そわそわしてしまったのはそのせいじゃないんです。 今日は……アナタにどうしても伝えたいことがあったから……」

〇〇「私に……」

握られたままの手が熱い。

彼の切れ長な瞳が、真っ直ぐに私を見つめる。

その唇が少し戸惑うように言葉を探しながら……

万里「……今日、実はずっとアナタへの贈り物を考えてました」

〇〇「私に……ですか?」

万里「はい。どうしたらアナタの笑顔が見られるのか……アナタが一番嬉しくなる時はどんな時なのか……。ずっと一緒に街を回りながら考えていて……」

〇〇「……」

彼の言葉の一つ一つが、甘いチョコレートが溶けるように私の胸に甘く広がる。

〇〇「万里くん……」

(嬉しい……)

万里「いろいろとアナタと街を回って……ようやく決めました。 〇〇ちゃんのための、私ができる贈り物……」

ふっと力強い瞳が柔らかに細められる。

〇〇「……嬉しいです。なら私、明日を楽しみにしてますね」

万里「はい!」

その後、店を出ると私達は別れた。

明日への甘い予感を、胸に抱きながら…-。

……

そして日が変わって、愛の日当日…-。

彼に呼び出されて、私は万里くんの宿泊先を訪れた。

(昨日あんなこと言われたばかりだから、恥ずかしいな……)

〇〇「万里くん……今日は何を?」

万里「はい。アナタと一緒に行きたいところがあるんです」

そう彼に言われて、連れて来られたのは…-。

〇〇「あれ? ここって……」

万里「はい、昨日アナタと最後に訪れた店です」

手を繋いでやって来た先にあったのは、路地裏にあったあの小さなケーキショップだった…-。

 

<<太陽6話||太陽最終話>>