第1話 穏やかな昼下がり

罪過の国・ヴォタリア 奏の月…-。

冷たい空気が窓を白く染める、霧深い昼下がり…-。

イラ「ようこそ、〇〇さん!」

私は、イラ王子に招かれて、罪過の国・ヴォタリアを訪れていた。

イラ「罪過の国なんて怖い名前だから、来るの怖かったでしょ?」

〇〇「いえ、そんな」

イラ「そう? それならよかった。自分の家だと思ってくつろいでね」

イラさんはとても礼儀正しく、でも親しげに話しかけてくれる。

(なんだか、ほっとするな)

イラ「ああ、君達も下がりなさい。姫がくつろげないだろうから」

執事「承知致しました」

微動だにせずにイラさんの横に控えていた執事さんと、部屋の隅に直立していた大勢の衛兵さんが動き出す。

イラ「さあ、これで僕もくつろげる」

扉が閉まると、イラさんはそう言ってにっこりと笑った。

(堂々として、にこやかな方……)

彼の柔らかな笑顔に緊張がほぐれていく。

窓から射し込む柔らかな光の中で、穏やかな時間が流れていた…-。

 

 

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