映画の国・ケナル 彩の月…―。
(すごい……)
映画の国の連合組合であるビオスコープが、一丸となって建てた新しいテーマパーク、その名も『ビートン・フィルムパーク』……
(こんな大きなものを、テルさん達が……?)
ビートン兄弟が総指揮を執って作り上げたテーマパークを見渡しながら、私は招待してくれたテルさんとの待ち合わせ場所を目指す。
すると……
(あっ。あそこにいるのは……)
テル「……」
○○「テルさん、お久しぶりです」
テル「え? ……ああ、来てくれたのか! 嬉しいよ」
久しぶりに顔を合わせたテルさんが柔らかな笑みを浮かべる。
けれど……
(テルさん、なんだか元気が……)
その瞳に疲れの色が浮かんでいる気がした私は、思い切って尋ねる。
○○「……やっぱり忙しいんですか?」
テル「いや、もう大丈夫だよ。プレオープンまであと少しだし。 長い間、力を注いできたからね。この国にいる間、君がこのパークを楽しんでくれたら嬉しいよ……」
そう言って、テルさんが再び目を細める。
けれどその笑みは弱々しく、私の心に小さな棘を残したのだった…―。