月7話 花火を求めて

テルさんと一緒に、花火の打ち上げ現場へとやってきた後…―。

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テル『……いや、今は謝るよりも先にやることがある』

打ち上げ責任者『テル監督……』

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ショーの開演時間が刻々と過ぎていく中、テルさんが辺りにいるスタッフさん達を集める。

テル「皆、よく聞いてくれ。兎にも角にも、まずは原因を調査して欲しい。 それがわからないことにはどうすることもできない。判明次第、俺が指示を出す」

打ち上げ責任者「はい!」

テル「それと、そこの君。プロジェクションマッピング班には、ひとまずショーを始めるよう伝えてくれ」

打ち上げスタッフ1「承知しました!」

(すごい……)

冷静に指示を出すテルさんによって現場の混乱は跡形もなく消え……

少しの後、大音量の音楽と共にショーが始まった。

○○「あの、私にも何かお手伝いできることはありませんか?」

指示出しの合間を見計らって、テルさんに声をかける。

テル「ありがとう、とても助かるよ。それじゃあ…―」

打ち上げスタッフ2「テル監督! 原因がわかりました!」

テル「何!?」

走ってきたスタッフさんの話によると、前日に発生した霧によって、用意していた花火が湿気てしまったらしく……

打ち上げスタッフ2「管理が甘く、本当に申し訳ありません」

テル「いや、大丈夫だ。報告ありがとう。 君はこのことを他のスタッフ達にも伝えておいてくれ。それと……○○。 これから倉庫に予備の花火を取りに行くんだけど、君も俺と一緒に行ってくれるかい?」

○○「はい、もちろんです」

私はテルさんと一緒に、花火のある倉庫へと向かう。

すると、その途中……

女性「なんて綺麗なのかしら……!」

男性「ああ、さすがは映画の国だ!」

観客達が、幻想的なショーに酔いしれている。

テル「どうやら花火がなくても盛り上がってはいるようだ……不幸中の幸いか」

○○「そうですね。だけど……」

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テル『この映像を目にした人々の、生の感情を映像に残そうと思って。 演技じゃない、リアルな感動。人の歓び……そして驚き……それらを俺は残したい』

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(心から感動してもらうためにも……テルさんが作り上げたものを、ちゃんとお客さんに伝えたい)

○○「……急ぎましょう。お客さん達には、もっともっと楽しんでもらいたいですから」

テル「君の言う通りだね。せめてクライマックスまでに間に合わせないと!」

歓声に包まれる広場を横目に、私達は倉庫へと急ぐのだった…―。

 

 

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