第4話 彼の素敵なところ

走り去るルーガ君を見ていると、彼の両親が大きなため息を吐いた。

モーガ兄弟の父親「まったく、あの子は……ルーガも、モーガを見習って欲しいんですけどね」

モーガ兄弟の母親「本当に……ちっとも勉強をしないんだから」

ミヤ「でも、この前ルーガは進んで花壇の掃除をしてくれていて、商店の人に褒められてたよ」

ミヤは目を細めながら、ルーガ君を褒める。

モーガ兄弟の父親「ミヤ様に褒めていただけるなんて恐縮です。でも、あの子はもう少しモーガを……」

その後もずっと、ご両親はルーガ君とモーガ君を比較し続けていた。

ミヤ「……」

ミヤの表情に影が差す。

(ミヤ、もしかして……)

彼の心の中に過ぎるものに気づき、胸がざわめく。

○○「……ミヤ?」

私が顔を覗き込むと、ミヤはハッとしたような表情を浮かべた。

ミヤ「ごめん、少しぼんやりしちゃった」

彼の無理やり作った笑顔が、私の心を締めつける。

ミヤ「……じゃあ、オレ達はそろそろ行くね」

少し気まずそうに、ミヤが街の人達へと別れを告げる。

そんな彼と共に、私は森へと向かった…―。

……

森までの道、ミヤの口数はいつもより少なかった。

ミヤ「……」

(ミヤ、やっぱり元気がないみたい……)

明るく元気ないつもの彼の姿を思い返すと、胸がちくりと痛む。

(だけど、そうやって振る舞うのは周囲を思いやってのことで……)

(ミヤは、いつも自分の気持ちを言えずにいる)

(ミヤが抱えている気持ちを、少しでも軽くできれば……)

○○「あのね、ミヤ……私はミヤのいいところをたくさん知ってるよ」

ミヤ「えっ……」

○○「それに、ミヤが傍にいるだけで元気になるし! つまり、その……」

思っていることを上手く伝えられず、もどかしくなってしまう。

○○「つまり……、私はそんなミヤが素敵だと思っていて……」

ミヤ「……○○ちゃん」

ミヤが驚いた顔で私を見つめる。

(突然こんなことを言われても、困るよね……)

途端に恥ずかしくなり、頬が熱くなってくる。

けれど……

ミヤ「ありがとう、○○ちゃん。 ○○ちゃんの優しさが、すごーく伝わったよ。 心配かけちゃったよね。ごめんね。オレは大丈夫だから……ね?」

ミヤが、弾けるような笑顔を見せた。

(よかった……)

思いが伝わり、ほっと胸を撫で下ろしていると……

??「うわあああっ……!」

森の奥から、叫び声が聞こえてきた。

(あの声は……?)

ミヤ「……ルーガ!?」

○○「ルーガ君に、何か……」

ミヤ「森の奥から? ……行こう! ○○ちゃん!」

私達は声の方へと、急いだ…―。

 

 

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