太陽7話 熱を帯びる心

ハクさんの笑顔に、私の胸が大きな音を立てる…ー。

ハク「お前といると不思議だ……いろいろな発見がある。 本には書かれていないことを知ることができる」

○○「え……?」

ハクさんは、真っ直ぐに私を見つめている。

ハク「この気持ちが……楽しい、ということなのだろうか」

(私といることが、楽しい……?)

○○「……そう言っていただけて、嬉しいです。 私も、ハクさんといると楽しいです」

懸命に自分の感情を言葉にしようとしてくれているハクさんに、私も素直に気持ちを伝えた。

ハク「○○……」

ハクさんの綺麗な灰色の瞳に、私の姿が映し出されている。

(胸が……)

胸の奥が甘く締めつけられて、私はそっと胸元を押さえた。

ハク「……」

ハクさんと私は見つめ合ったまま、言葉を紡ぐことをやめた。

時間が止まってしまったかのように感じられた、その時…ー。

ハク「俺は……。 ……いや、何でもない」

何かを言いかけたように思えたけど、彼はまた沈黙してしまった。

(ハクさん……?)

私はその場で、視線を落とすハクさんをじっと見つめていた……

数日後…ー。

助けたうさぎの脚もすっかり治り、森へ帰してあげることにした。

○○「元気でね」

ハクさんが、抱いているうさぎをゆっくりと降ろす。

うさぎは元気よく私達の周りを飛び跳ねて、森の中へと帰って行った。

○○「よかったですね」

ハクさんは私に向き直り、穏やかに笑った。

ハク「これが……嬉しい、だな」

○○「はい……!」

私もつられて笑顔になる。

(ハクさん、笑うことが多くなった……)

彼の笑顔に温かい気持ちで胸がいっぱいになった、その時…ー。

ハク「……!」

突然にハクさんが、私を背中の後ろに隠す。

(ハクさん……?)

ハクさんの大きな背中の向こうから聞こえてきた声は……

盗賊1「よう」

○○「……っ!」

この間、森で私達を襲ってきた男だった。

盗賊1「一人じゃかなわねぇからな。今日は、仲間を連れてきた」

気がつくと、周りに複数人の男達が私達を囲んでいる。

ハク「……」

森の木々が、うるさいくらいにざわめいていた…ー。

 

 

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