第1話 再びのオズ

虹の国・オズ 陽の月…―。

今日もオズの国に、人々の賑やかな声と忙しない機械音が響く。

(あの機械も、オズワルドさんが作ったのかな?)

遠方に回る大きな二つの歯車を見て、私はこの国の王子であるオズワルドさんのことを思い浮かべた。

(オズの魔法使い……じゃなくて、技術屋なんだよね)

昔、エメラルドの都とよばれていたこの場所は、オズワルドさんが現れてからオズと改名されたという。

未発達だったこの国を発展させたオズワルドさんの技術を、人々は『魔法』だと信じているけれど…―。

オズワルド「だから、魔法じゃなくて技術だよ、ギジュツ! 何回言えばわかってもらえるのかな…」

こんな調子で、オズワルドさんは結局『オズの魔法使い』として皆から慕われていた。

(確かこの辺りで会おうと、手紙には書かれていたはずだけど……)

オズワルドさんからの手紙には、もうすぐ国の『感謝祭』が行われると記されていた。

(かわいい飾りつけ……リボンに風船に、それに……卵?)

街いっぱいに飾り付けられた、卵をまじまじと見つめていると…―。

??「やぁやぁ、○○ちゃん。迷わずに来られたかい?」

振り返ると、軽く帽子を上げて挨拶をするオズワルドさんが、そこにいた。

○○「オズワルドさん……!」

オズワルド「元気にしてたかい?」

彼の帽子にも、やはり卵が添えられている。

○○「今回は、楽しそうなお祭りにご招待くださってありがとうございます」

オズワルド「楽しそうだって思う? 見える? そりゃよかった! では、どのくらい楽しめるのか、くわしく見せてあげないとね!」

少しおどけた様子のオズワルドさんが、人差し指でくいと眼鏡を押し上げる。

その変わらない仕草に、私は自然と笑顔になっていた。

オズワルド「じゃ、さっそく行ってみよっか!こっちだよ!」

オズワルドさんの手が、そっと私の背中に添えられる。優しく触れた手のひらに、小さく鼓動が弾んだ…―。

オズワルドさんに導かれて、城の一室へと案内される。大きなテーブルの上にあったのは……

○○「っ……すごいです」

とても精工に作られた、ミニチュアの街の模型だった。一つの大通りを中心に、かわいらしい山車が連なっている。

オズワルド「ここはメイン通り。よって、この通りを華やかに多くの山車で演出しようと思っているんだよ」

○○「素敵です……! パレードですか?」

オズワルド「ご名答!」

感嘆の声を上げる私を見て、オズワルドさんの帽子の中の電球が、ピカッと嬉しそうに光った…―。

 

 

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