太陽7話 彼の本領

翌日…ー。

(少しも雨がやみそうにない……)

空は、どんよりと厚い雨雲に覆われていた。

(準備もあるし、早くやんで欲しいのに……)

けれど、天候はいっこうに回復する気配を見せなかった…一。

そんなある日のこと…ー。

◯◯「オズワルドさん、どこに行くんですか?」

工具や機材を抱えたオズワルドさんが、急ぎ足でどこかへ向かおうとしていた。

オズワルド「ちょっと街にね」

◯◯「え……でも、こんなに雨が降っているのに」

オズワルド「だからだよ。これはもう、どうにかしなきゃならないでしょう。 空を占拠しちゃった雨雲達に退散していただかないとねぇ」

オズワルドさんは軽く肩をすくめると、また足早に歩き始める。

◯◯「あ、待ってください。私もついて行っていいですか?」

オズワルド「雨に濡れちゃうよ?」

◯◯「それはオズワルドさんだって……」

オズワルド「まぁね。でも僕は男だから君よりは体も丈夫だろうし。 この国の王子としてやるべきこと……いや違うな。僕がやりたいことのためには、やらなければね」

◯◯「じゃあせめて私が傘を……」

オズワルド「うん、それは必要ないかな」

言うや否や、手に持っていたものの中から、棒状のものを取り出した。

かと思えば、すっと空中にその棒を放り投げて…ー。

◯◯「っ…… ! ?」

次の瞬間には、ばさりと開いたこうもり傘が、ばたばたと自動で空中に浮かんでいた。

◯◯「かわいい…… !」

オズワルド「気に入ってくれたようで何より。さ、では一緒に向かおうじゃないか」

◯◯「……っ!」

肩を抱き寄せられ、こうもり傘の下に二人で入り込む。

オズワルド「そんなに大きくないからね、しっかり僕にくっついてて」

◯◯「え……」

オズワルド「ああ、まだ城の中だったね! いけないいけない」

いたずらっぽい声を出しながらも、オズワルドさんは私から手を離そうとはしない。

キーと、どこか恨めしそうに鳴くこうもり傘と一緒に、私達は街へ向かった…ー。

……

街の中心部へ向かうと、オズワルドさんはすぐに、持ってきた道具を広げ始めた。

オズワルド「先に飛ばしていた探知機は……っと」

私にはわからない、複雑そうな機械を置いて、オズワルドさんは慣れた手つきでそれをいじり始める。

(何をしてるんだろう?)

オズワルド「うん、問題なし。そろそろ、必要なものも届く頃かな」

◯◯「……オズワルドさん、いったいどうやって晴れにするんですか?」

オズワルド「雨雲を追い払う技術を試していてね。 今は、探知機を上空高くに飛ばして、雨雲の種類と大きさを計測中だ」

(雨雲を追い払う技術って……すごい!)

オズワルド「ま、見ててよ」

どこかわくわくした表情で、オズワルドさんは薄暗い空を見上げるのだった…ー。

 

 

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