第1話 聡明な瞳

どこまでも広がる、のどかで広大な田園風景……

旅の途中でふと、太陽の光に反射する煌めきを見つけた。

〇〇「あ、駄目……!」

カラスに弄ばれるその煌めきに、慌てて駆け寄ると、バサバサとカラス達は飛び立った。

けれど…―。

(遠くから、こっちを見てるみたい。そんなに気になるものなのかな?)

見れば、輝きの正体は指輪だった。

(これは……!)

慌てて両手を組んで祈ると、指輪は強い光を発し……

??「ん……あー……くそ、頭いてぇ!」

現れたすらりと背の高い青年は、顔をしかめてつぶやく。

特徴的な藁作りのような帽子を、被り直しつつ上を見上げると……

突然怒りをあらわにして、勢いよく飛び起きた。

??「あいつら……俺が動けなかったのをいいことに……! 許せねえっ!」

あざ笑うかのように鳴くカラス達にそう叫んだかと思うと、彼はすぐさま不思議な書物を取り出した。

(な、何……?)

勢いよくページをめくり、ぴたりと指を止めたかと思うと、何やら静かにつぶやき始める。

不思議に思い、声をかけようとした矢先…―。

??「立ち去りやがれ!!」

〇〇「っ……!」

叫び声と共に、彼の持っていた書物から竜巻のような強風が吹き荒れた。

カラス達が、発生した不思議な竜巻に巻き取られ、吹き飛ばされていく。

??「……ったく、油断も隙もあったもんじゃねえ。 ……で、お前は?」

安堵とも怒りとも取れるため息を吐くと、本をぱたりと閉じながら青年がやっとこちらを見る。

初めて私を捉えたその瞳は、美しく聡明な輝きを宿しているようだった。

〇〇「あ、私は…―」

怪訝そうな表情を浮かべる彼に、私は自分のことを説明した。

??「ふーん……」

金色の瞳が、興味深そうに私を見つめている。

??「そか。じゃ、礼をする」

大きな藁の帽子を深く被り直すと、彼はくるりと背を向ける。

??「……こんなとこじゃなんだな」

〇〇「え……?」

??「俺の領地でもてなす。お前は、恩人だからな」

戸惑う私には構わず、さっさと歩き出してしまう。

〇〇「あの!」

??「なんだよ」

顔だけ私の方に振り返らせて、仏頂面で彼が言う。

〇〇「あなたの名前は……」

??「……」

コホンと咳払いをして、彼は私に向き直る。

リーヤ「あー……リーヤだ」

その顔が、心なしか赤く染まっている気がした…―。

 

 

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