
2023-03


月SS 僕だけはやだ
花畑には穏やかな日差しが降り注いで、優しい風が通り過ぎている。いつもならこんな光景を目にすれば心が弾んで仕方ないのに、今日はため息しか出なかった。(どうして僕だけ、外に出ちゃいけないの?)それは、僕が王子だから……自分でも、本当はわかってい...

月最終話 素直な気持ち
花畑の中で膝を抱えているリオンくんは、あまりに切ない表情をしていて……私はしばらく何も口にすることができなかった。リオン「……」顔を伏せたままのリオンくんの横に腰を下ろし、そっと寄りそう。けれどしばらくすると、リオンくんはうつむいたまま口を...

月7話 住人の嘆願
衛兵「それが……城の外に城下町の者達が集まり、リオン様に嘆願をと…―」衛兵に連れられて、広間に街の住人達が現れた。老婆、若い娘に働き盛りの若者と、その年や性別は様々で……リオン「一体、皆どうしたの?」老婆「それが……最近めっきり花の持ちや咲...

月6話 リオンと兄弟
従者の方から話を聞き、急いで城に戻ると…―。広間には、リオンくんの兄弟が勢ぞろいしていた。リオンの兄1「城の侍女達から聞いたぞ、リオン! 王子としての執務を投げ出し、勝手に城を抜け出すとは何事だ!」リオンくんの顔を見るなり、お兄さん達は厳し...

太陽SS 立派な王子に
―――――リオン『ねえ、○○、しばらくは忙しくて会えなくなっちゃうけど。 次に会う時はちゃんと立派な王子様になってるから、そしたらもう一度、会いに来て?』―――――○○にそんな約束をしてから、季節が一つ巡ろうとする頃…―。やっと今日の仕事を...

太陽最終話 大人びた笑顔
―――――リオン『ねえ、○○、しばらくは忙しくて会えなくなっちゃうけど。 次に会う時はちゃんと立派な王子様になってるから、そしたらもう一度、会いに来て?』―――――それから…―。私がヴィラスティンを去り、季節が一つ巡ろうとしていた頃…―。あ...

太陽7話 タンポポの逞しさ
衛兵の口にした嘆願書という言葉に、場の空気が変わった。リオン「待って! 嘆願書ってどういうこと? 何か街で問題が起きてるの?」リオンくんの大きな瞳が不安そうに、大きく揺れる。(リオンくん……)その様子に、私の胸もざわめき始めた。衛兵「いえ、...

太陽6話 リオンの反論
従者さんの険しい表情を見て、リオンくんと私は慌てて城へと戻った…―。………城の大広間に入ると、リオンくんの帰りを待っていた兄弟達が、彼を責め立てた。リオンの兄1「リオン! 王子が城を勝手に抜け出すとはどういうことだ!」リオンの兄2「街の者達...

第5話 遮られる言葉
心地よい風が、花畑を吹き抜けて行く。リオン「王子様はね、その花を司る精の代表だから、お城にちゃんといないといけないんだって。 でも僕、退屈で退屈で、もう自由に旅することもできないのかなって思ったら、辛くて・・・-」自由を望む彼の心が、私の心...