太陽5話 突然のお迎え

そして、プリンスアワード当日…-。

この日を待ちわびていたかのように、丸い月が煌々と街を照らしている。

出発の準備をしていた時、部屋の外で声がした。

使用人「〇〇様。お迎えの方がいらっしゃっていますが」

〇〇「え? お迎え?」

(お迎えなんて……)

カーテンをそっと開き、外を覗く。

すると建物の入り口に、キースさんが立っていた。

(キースさん!)

私は慌てて身支度を整え、部屋を飛び出した。

外は、式典へと向かう人々ですでに賑わっていた。

皆正装をし、心なしか胸を張って歩いていく。

その中に、一層輝くキースさんがいた。

キース「お迎えに上がりました」

キースさんが凛と姿勢を正し、お辞儀をする。

〇〇「あ、あの……」

キース「……エスコートのされ方も知らんのか」

〇〇「えっ」

キースさんの顔から笑みが消え、思わず声を上げてしまった。

キース「ドレスの袖を摘まみ、軽くお辞儀をして、腕に手を添える」

〇〇「……」

(キースさん? いったい……)

キースさんの真意が知りたくて、私は彼をじっと見つめた。

(もしかして、プリンスアワードに……?)

微かな期待を、胸に募らせていると…-。

キース「どうした」

〇〇「……! いえ」

言われた通りお辞儀をし、キースさんの腕にそっと手を触れる。

彼の顔を見上げると、柔らかい微笑みが降ってきた。

キース「では、参りましょう……〇〇姫」

〇〇「は、はい」

すぐ傍に見えるキースさんの笑顔に、胸が高鳴る。

(頬が、熱い……)

キースさんが、私の歩調に合わせて歩き出す。

キース「足元、気をつけて」

〇〇「はい」

彼の腕に触れた手に、力がこもる。

並んで足を進めるほどに、胸がトクトクと音を立てていた…-。

 

 

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