月5話 少年達の歌声

そして、プリンスアワードの式典当日…―。

パーティ会場は、すでに大勢の人達で賑わっていた。

煌びやかなドレスを着た人々が笑顔を交わし合っている。

(わぁ……豪華なパーティ会場)

その光景に見とれていると背後から声がした。

キース「おい」

振り向くと、キースさんが私を見つめていた。

○○「キースさん」

キース「そろそろ、あいつらの合唱が始まる」

(あいつら……って)

人混みの隙間から、ステージに上がろうとしている少年達の姿が目に入る。

―――――

少年1「鬼先生、今日はどうもありがとうございました!」

少年2「鬼先生、また指揮してね!」

キース「なんだその呼び方は」

―――――

少年達に視線を送るキースさんを見て、笑みが漏れる。

○○「楽しみですね」

キース「俺の指導をきちんと守っているか、確認しないとな」

指揮者がパーティの招待客に挨拶をし、会場が静まり返る。

その時、ステージ上の少年がキースさんに気づき大きく手を振った。

キース「あいつ……」

眉根を寄せながらも呆れたように笑うキースさんに、私の口元も緩む。

○○「キースさん、子ども達にも好かれてすごいです。 それに、なんでもできて……本当に尊敬します」

キースさんは何も答えず、私をじっと見つめていた。

指揮棒が空を切り、少年達の高らかな歌声が響き渡った…―。

 

 

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