記録の国・レコルド 凪の月…-。
花の香りの風が、柔らかに髪を揺らす昼下がり…-。
数日後に行われるプリンスアワードに招かれ、私は、この歴史ある国を訪れていた。
(ここが記録の国……)
迎えの車の車窓から、たくさんの衛兵さんが捧げ銃をしている姿が見える。
城門を入ってしばらくすると、車が音もなく停まった。
??「お手をどうぞ」
扉が開けられ、誰かが手を差し伸べてくれる。
○○「ありがとうございます」
手を取ろうと顔を上げると、そこには懐かしい笑顔があった。
○○「ジークさん……!」
ジーク「お久しぶりです。あなたがいらっしゃると知り、到着を早めてお待ちしておりました」
宝石の国・メジスティアの王子であるジークさんは、相変わらずの優雅な所作で私の手を取った。
○○「わざわざ出迎えてくださりありがとうございます」
ジーク「お会いしたかった……私のプリンセス」
ジークさんは柔らかに笑い、そっと私の手の甲に唇を落とす。
(私のプリンセスって……やっぱり少し恥ずかしいけれど)
穏やかな陽の光が、彼の頬にまつ毛の影を作っていた…-。