第1話 星空のパーティー

夕凪の国レベルタ、星の月…-。

野に咲く花々に星々のきらめきが降り注いでいる…-。

国王陛下に招かれ、私は夕凪の国・レベルタを訪れていた。

(星空のパーティーなんて、すごく素敵)

満天の星空の下、美しくしつらえられたテーブルでたくさんの人が談笑している。

レイヴンさんの正面の席で、私はグラスに注がれていく星屑色の液体を見つめていた。

〇〇「これは……?」

レイヴン「満月の夜に摘んだ花の蜜から作られたお酒です」

キラキラと輝くグラスの中を覗き込むと、スミレのように甘やかな香りが広がる。

〇〇「とってもいい香りですね」

ふっと微笑んだ私に、レイヴンさんの右隣の席の男の子が笑いかけてくれた。

(かわいい……5歳くらいかな?)

レイヴン「弟のクローディアスです。クロード、姫にご挨拶は?」

クローディアス「こ……こんばんは」

〇〇「こんばんは」

真っ赤に頬を染めた弟さんを、レイヴンさんが愛おしそうに見つめた。

(すごくかわいがってらっしゃるんだな)

クローディアス君は、ふとレイヴンさんの左隣の席に目をむける。

(そういえば……)

満席のテーブルの中、その席だけが空いていた。

(あそこにはどなたが座るんだろう?)

レイヴンさんは、その席に置かれたグラスに静かに蜜酒を注ぐ。

やがて白く美しい花を懐から取り出し、そっとグラスの前に添えた。

レイヴン「オフィーリア……君の好きな花が咲いたよ」

消え入りそうなほど小さなその囁きは、なぜだか私の胸を締めつける。

誰もいない席に笑いかける彼の横顔が、星空に消え入ってしまいそうに見えた…-。

 

 

 

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