第1話 再会

花と緑の国・ブルメリア 彩の月…-。

爽やかな風が頬を撫でる、ある日…-

ユリウス王子を眠りから目覚めさせたお礼にと、私は彼の国に招待されていた。

(ここでいいのかな?)

美しい花に彩られた城門の前に立つと、すぐに老齢の執事さんが現れた。

執事「〇〇様ですね?」

〇〇「はい」

執事「お待ちしておりました」

執事さんは優しい笑みを浮かべ、城の中へ私を迎え入れてくれた。

(綺麗……)

城の中は、至るところに色とりどりの花が飾られていた。

執事「こちらの部屋でお待ちください。ユリウス様がいらっしゃいます」

〇〇「ありがとうございます」

広い部屋の中でしばらく待っていると、突然勢いよく扉が開いた。

ユリウス「……」

ユリウスさんが、扉の前に立っている。

彼は何も言わず、怪訝そうに私を見ている。

〇〇「……?」

ユリウス「……お前がオレを助けてくれたんだよな」

〇〇「は、はい。助けたなんて、大げさですけど」

ユリウス「……そうかよ」

ユリウスさんはそっけなく言うと、窓際の壁にもたれかかった。

ユリウス「……」

それきり、ユリウスさんは黙り込んでしまう。

(……何か、話した方がいいのかな)

沈黙が訪れ、少し気まずさを感じ始めていたその時…-。

執事「失礼いたします」

執事さんが入って来てくれて、私はほっと胸を撫で下ろした。

執事「〇〇様。お部屋をご用意いたしました」

〇〇「ありがとうございます……ユリウスさん、失礼します」

ユリウス「……ああ」

ユリウスさんは窓の外をじっと見つめ、こちらを見ようともしない。

(……気難しい人、なのかな?)

窓から差し込む光に包まれる彼が、今はまだ、とても遠くに感じた…-。

 

 

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