第2話 彼の相談

チョコレートの甘い香りに包まれた街中で…-。

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クレト『ああ、そうだ……っ! 実は、もうすぐ『愛の日』なんだけど……』

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クレト君は目を輝かせながら、愛の日について話してくれた。

〇〇「愛の日?」

クレト「ああ、ごめん。〇〇は知らないか! えっと……愛の日は、贈り物を通して大切な人に愛を伝える日で。 で、その日に向けてこの国ではチョコレートを贈るのを奨めてるんだ!」

(贈り物……バレンタインみたいな感じなのかな?)

〇〇「すごく素敵なイベントだね」

クレト「だろ? チョコレートで愛を伝え合うって素敵だよな」

チョコレート、と口にした彼の瞳は、よりキラキラと輝いて見えた。

クレト「それでさ、すごく時間がないんだけど……。 チョコレートが愛を伝えるのに一役買うなら、俺も何かしたいなって思って!」

生き生きとした彼の声色が、私の気持ちも弾ませる。

(チョコレートの話をするクレト君って、いつも楽しそう)

〇〇「そっか、クレト君チョコレート好きだもんね」

クレト「いや! そうじゃなくて! ……いや、そうなんだけど!」

私からとっさに目を逸らしたクレト君は、きまりが悪そうにまた頭を掻き始めた。

クレト「ほ、ほらっ俺も王子だしさ、それで一応は何かしなきゃと思って。 でも、なかなかいい案が浮かばなくって……。 〇〇に相談できたらいいなって思ったんだ」

赤く染まった顔を隠すように、クレト君はうつむいた。

(ああそうか、クレト君……チョコ好きって言われるの、男らしくないからって気にしてたっけ)

(さっきの敬語もそうだけど……やっぱり格好よさに拘ってるんだ)

思わず笑みをこぼしてしまいそうになる私を、クレト君はちらりと上目遣いで見つめてくる。

クレト「ど、どうかな? 〇〇、一緒に考えてくれるかな?」

少し潤んだ愛らしいアーモンド形の瞳が、私にそう訴えかけてきて…-。

〇〇「私でお役に立てるなら、是非」

クレト「本当? マジで!? やった! ありがとう、〇〇」

クレト君は、拳を高く上げると、その場で飛び跳ねながら喜んだ。

(こんなに喜んでくれるなら、嬉しいな)

無邪気にはしゃぐクレト君を見ていると、私まで楽しい気分になってくる。

クレト「じゃあ、まずは街に行ってみよう! いいアイデアが浮かぶかもしれない」

街は、愛の日に向けて楽しい雰囲気に包まれている。

私とクレト君は、その賑わいの中へと誘われるように、肩を並べて歩き出した…-。

 

 

 

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