第2話 マイペースな彼の性格

目の前に差し出されたとても綺麗でおいしそうなケーキに、思わず目が釘づけになってしまう。

(いろんな種類のベリーがのってて、カラフルだなあ)

(見てるだけで、ワクワクしてくる)

瑞々しいベリーが彩るケーキを見て、胸を躍らせていると……

コロレ「ふふっ、喜んでもらえてるみたいだ。よかった」

○○「っ……!」

(そんなに顔に出てたかな? 恥ずかしい……)

コロレ「おいしそうだよね。僕も早く食べたいんだ! すぐにお茶を用意してくるから、少し待っててね?」

執事「コロレ様、では私が……」

コロレ「ううん、大丈夫。僕がこのケーキに合う茶葉を選んであげたいから」

コロレさんは、最後にまたふわりと微笑んで、部屋を出て行った。

……

それからしばらく待っていたけれど、30分過ぎても戻ってくる様子がない。

(何かあったのかな……?)

私は、コロレさんがいるはずの調理場へ向かってみることにした。

調理場を覗いてみると……

(あれ……?)

コロレさんは、何やら真剣な様子でメモを取っていた。

時折、耳たぶを触り考えを巡らせている様子だ。

(声をかけて……大丈夫かな?)

(真剣みたいだから、今は声をかけない方がいいかな……)

そう思ってじっと見つめていると……

コロレ「……ん? ○○さん! 気づかなくてごめんね」

○○「いえ……」

コロレさんは、少し申し訳なさそうに微笑んだ。

コロレ「あー……時間、かかっちゃってたよね。ごめんね」

掛け時計を見ると、コロレさんは慌てて茶葉の詰まった瓶を手に持つ。

○○「何をされてたんですか?」

コロレ「ああ、えっと……どの紅茶がいいか選んでいたら。 新作レシピというか、アイディアが浮かんじゃって……」

コロレさんは眉を下げながら、メモをしていた紙をひらりと見せてくれる。

○○「そうだったんですか」

コロレ「うん、でももう大丈夫。メモしたから。 だからえっと、飲み物だよね。今回のケーキには軽い口当たりの茶葉で……。 あ、あと、お皿も。君とケーキと両方に合うお皿を探したいし……」

どこかのんびりとした様子で、コロレさんは厨房の中を歩き回る。

コロレ「えっと、これがいいかな。それとも……」

しばらくすると、茶葉の瓶を手に持ったまま、今度はお皿をじっと見つめ始めた。

(ふふ……見てるだけで、なんだか癒されるな)

○○「コロレさんって……マイペースって言われませんか?」

コロレ「えっ……?」

綺麗なアーモンド形の瞳が、丸く見開かれる。

それからみるみるうちに、顔が真っ赤に染まって……

コロレ「あ……うん、そうなんだ。 僕はえっと……よく、マイペースって言われることがあって……っ」

(コロレさん……照れてる?)

背が高いコロレさんの、頬を染めて恥じらう姿はとても可愛らしくて……

○○「私はマイペースなのも、いいと思います」

コロレ「えっ、本当?」

○○「はい」

コロレさんの表情が、まるでチョコレートが蕩けるみたいに柔らかくほころぶ。

コロレ「ふふっ、直さなきゃいけないかなって思ってたけど……。 あっ、でもあとっ、これ。照れちゃうとすぐ顔が赤くなるのも……癖……なんだ」

(やっぱり、可愛い……)

またすぐに気恥ずかしそうに赤い頬に手を当てるコロレさんに、私もつられるように頬が火照るような心地になるのだった…―。

 

 

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