月8話 気分転換

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コロレ「……あの、もう少しだけ、僕に時間をくれないかな?」

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そう私に告げたコロレさんは、翌日から調理場へこもる時間が長くなった。

根を詰めている様子のコロレさんに、せめてもとお茶を淹れる。

○○「よかったら……どうぞ」

コロレ「っ……あ、ありがとう」

集中の時間から一息つくコロレさんにそっと声をかけると、

すぐに頬を染めて、慌てた様子でお茶を受け取る。

(やっぱり様子が変……もしかして、調子が悪いとか……?)

○○「あの、コロレさん。もしかして……具合が悪いんじゃないですか?」

心配になって問いかけると、コロレさんは驚いた顔でぶんぶん首を振った。

コロレ「そ、そんなことないよ! 違う違う」

○○「でも……顔もとても赤いですし……」

(すぐ顔が赤くなるとは言っていたけど……それにしても、真っ赤だし……)

コロレ「あの、えっと……そう! 湯せんのしすぎで部屋が暑いからじゃないかな。 うん、きっとそうだねっ」

○○「……?」

何か誤魔化しているようにも感じられる言動に、首を傾げる。

けれどコロレさんは……

コロレ「そっ、そうだ。ここ暑いから気分転換にすふれの散歩でも行こうよ」

私の追求からさらに逃れるように、立ち上がったのだった。

……

コロレさんと一緒にすふれの散歩で、ベリー畑までやってきた。

爽やかで甘酸っぱい風の吹く畑で、のびのびとすふれを遊ばせる。

○○「いいお天気でよかったですね」

コロレ「う、うん。そうだね……」

○○「気分転換になりそうですか?」

コロレ「えっ……? うん、そう、かな」

調理室が暑かったせいと言っていたけれど、今もほんのりと頬が赤く染まっている。

(大丈夫かな? コロレさん……)

やはり不安になり、彼の横顔を見つめていると……

コロレ「あ……!」

突然、何かを思い立ったように、コロレさんが声を上げた。

見れば、名案でも閃いたかのような笑みを広げている。

○○「どうしたんですか?」

コロレ「あ……ううん! 何でもないよ。 それより、ごめん、先に散歩を終わらせて、すふれを連れ帰っててもらってもいいかな?」

○○「え? いいですけど……コロレさんはどうするんですか?」

コロレ「ん、ちょっとね。お願い!」

何かを隠すように言われて、すふれのリードを渡される。

(コロレさんが……わからない)

(なんだかちょっと、寂しいな……)

胸に微かな切なさを感じながらも、コロレさんの言う通りに先に城へ戻ったのだった…―。

 

 

 

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