2023-02

通常ストーリー

月6話 葛藤

月が、寂しげに淡い光を放っている。 お婆さんから話を聞いたその夜…… 砕牙「……井戸の水が増えているのは、我と〇〇が近づき過ぎたが故か」 あの言葉が、何度も私の頭を過る。 あの話が本当なら、私はここにいてはいけない気がする。 そう思う度に、...
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太陽SS 同じ時を

天狐の光が収まっていく…―。 同時に我の中から何かが消え失せていった。 (力を失うとは、こういうことなのか……) (ひどく心許ないような、心に空洞ができたような……) (なんとも言えぬ気分だ……だが) 砕牙「これで、井戸の水量も元に戻るだろ...
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太陽最終話 見つけた幸せ

翌日…―。 砕牙「我から離れるでないぞ」 ○○「は、はい」 入るべからずと書かれた札を無視して、砕牙さんはどんどん森の奥へと進んでいく。 (大丈夫なのかな) 不安に思いつつも後ろに続いていると、私の考えを見透かしたように、砕牙さんが振り返っ...
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太陽7話 決意

ー---- 砕牙「うぬは、長寿を望むか?」 ー---- 月明かりが、伊呂具の夜を静かに照らし出す。 (どういう意味だろう?) 質問の意図が気にかかりつつも、考えを頭の中で巡らせる。 ○○「私は…―」 唐突な問いかけに、私は必死で思考を巡らせ...
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太陽6話 月夜

お婆さんから話を聞いたその夜…―。 ー---- 砕牙「……井戸の水が増えているのは、我と○○が近づき過ぎたが故か」 ー---- (あの話が本当なら、私はここにいてはいけない気がする) この国を出ることを伝えようと、私は砕牙さんの元へ訪れてい...
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第5話 古井戸の真実

井戸の異常事態の報告を受けた砕牙さんは、私の手をそっと取ると確信を持ったように口を開いた。 砕牙「……一緒に来てはくれぬか?」 ○○「どこへ行くんですか……?」 砕牙「行けばわかる。おそらく井戸の異変のことも……」 ○○「井戸のことも?」 ...
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第4話 縮まる距離

砕牙さんと伊呂具での時間を過ごして、しばらく…―。 森の木々が、雨粒を受けてきらきらと輝いている…―。 砕牙「そうか、うぬの国にはそんなに近代的なものがあるのか」 いろいろな土地を巡りながら、国のことや互いのことを話していると、心の距離が少...
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第3話 予兆

雨が、不安げに降り続く…… 伊呂具に到着してすぐ、外が騒がしいことに気がついた私達は、微かな胸騒ぎを覚えながら、輿を降りた。 砕牙「……何事か」 そこでは人々が集まり、深刻な顔つきで何やら話し合っている様子だった。 (どうしたんだろう?) ...
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第2話 鳥居の先

砕牙さんの用意してくれた輿に揺られながら、私は天狐の国・伊呂具の本殿へ向かっていた。 (砕牙さんが迎えに来てくれてよかった) そう思いながら、ふと輿の外を覗く。 (えっ!?) 砕牙「外がそんなに気になるのか? 狐にでもつままれたような顔をし...
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第1話 晴れた雨

天狐の国・伊呂具 蒼の月…―。 木々に緑が生い茂り、澄んだ空気に動物達の息づかいが優しく響く。 ○○「不思議な天気……」 空には太陽が出ているのに、雨はしとしとと降り続いている。 (それに、どこか不思議な雰囲気……) 足元を取られないように...