第4話 ケーブルカーに乗って

参道で行われていた屋台を見て回るうちに、

すでにケーブルカーの出発時刻が迫ってきていた。

エドモント「あっという間に時間が過ぎてしまったね。そろそろ乗り場へと向かおうか」

○○「はい、そうですね」

(出発時間まで随分時間があいてしまうと思ったけれど・・・・・・)

私は、エドモントさんが射的でとってくれたバレッタにそっと触れる。

(楽しい時間ってすぐに過ぎちゃうな・・・・・・)

私達は、ケーブルカー乗り場へと急いだ。

けれど・・・-。

ケーブルカー乗り場につくと、大勢の人々が列を成している。

(ここに並んでいる人・・・・・・全員が乗れるかな?)

どちらからともなく黙り込んでしまい、気まずい空気が流れた。

エドモント「○○・・・・・・ごめん」

エドモントさんが、深々と私に頭を下げた。

突然のことで、私は困惑してしまう。

○○「どうしたんですか、エドモントさん・・・・・・!? 顔を上げてください!」

エドモントさんは、おもむろに顔を上げると、小さくため息を吐いた。

エドモント「展望台へは違う手段で向かえばよかった・・・・・・。 皆、ご来光を見るためにケーブルカーを使う・・・・・・何故俺は気づかなかったんだろう・・・・・・」

エドモントさんは悔しそうに顔を歪める。

○○「私、ケーブルカーに乗ってみたかったので、大丈夫です」

エドモント「○○は優しいね」

エドモントさんは申し訳なさそうにつぶやく。

ケーブルカーが到着し、乗り場にいた人々が一斉に乗り込む。

(わっ・・・・・・)

人の波にさらわれてしまいそうになるところを、エドモントさんは私の肩を抱き寄せ、庇うように窓の方へと移動してくれた。

○○「エドモントさん・・・・・・大丈夫ですか?」

エドモントさんは、自らが盾になって、私を人ごみから守ってくれている。

エドモント「ああ、大丈夫だよ。君は気にしないで。 光来山が雪化粧していたから、きっと窓から見える景色も綺麗だろうね。 ほら、そろそろ発車するみたい、一緒に楽しもう」

優しい言葉をかけてくれながらも、押し寄せる人並みからは、しっかりと私を守ってくれている。

いつもより近い場所でエドモントさんの息遣いを感じる。

(胸が・・・・・・)

胸の高鳴りが彼に聞こえてしまわないことを願った・・・-。

 

 

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