月6話 展望台に……

静止しているケーブルカーの車内では、いっそう寒さが身に沁みる…ー。

モーターを点検する乗務員の方は、未だ原因を突き止めることができていないようだった。

エドモント「……ご来光に間に合えばいいな」

◯◯「そうですね……」

(光来山でご来光を見ると、健康でいられるっていう言い伝え……)

(公務で忙しいエドモントさんは、体が資本だし……)

(どうかご来光が見られますよう)

そう願ったけれど…ー。

車内にもう一度アナウンスが流れる。

運転手「点検したところ、やはりモーターが故障しております……。 申し訳ありません。ここで下山をして頂くことになります……」

乗客達の不満の声が、車内に充満する。

乗務員の方々はずっと頭を下げていた。

(残念だけど、仕方ないよね……)

私とエドモントさんは、ケーブルカーを降りる。

(ご来光……見たかったな)

エドモント「そんなに見たかった?」

エドモントさんが私の顔を覗き込んできた。

◯◯「はい……すごく残念だなって思って……」

エドモント「……諦める必要はないかもしれない」

◯◯「えっ……」

エドモントさんの視線は山頂へと向けられている。

エドモント「展望台まではあと少しの距離だ。ここから歩いて行ってみようか?」

(エドモントさんとご来光が見られる……)

◯◯「はい……行ってみたいです!」

エドモント「じゃあ、行こう」

他の乗客達が下山していく中、私とエドモントさんは、山頂を目指して歩き始めた…一。

 

 

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