第5話 報せ

出国途中に襲われてしまい、また城へ逆戻りとなった。

(一体、何が起こっているんだろう・・・・・・)

城に戻ってすぐに、他の領主が反乱軍に襲われたとの報せが入り、

雷さんは飛び出して行ってしまっていた。

(雷さんは、大丈夫なのかな)

無事であってほしいと祈りながら、私は彼の帰りを待ち続けた・・・-。

・・・

・・・・・・

雷さんが城へ戻ったのは、それから数日後のことだった。

雷「・・・・・・」

○○「雷さん!」

その姿を見るや否や、私は彼に駆け寄った。


「留守中、城では何事もなかったようだな」

○○「はい、雷さんも無事で、本当によかったです」

胸が詰まる思いで、雷さんを見つめる。

雷「・・・・・・」

雷さんは、そっと切なそうに表情を歪めた。

○○「雷さん・・・・・・?」

彼の顔を覗き込もうとしたとき・・・・・・

○○「!」

雷さんの大きな手が私の頭の後ろに添えられ、そのままぐいと引き寄せられた。

(雷・・・・・・さん・・・・・・?)

彼の厚い胸に、私の顔が触れる。

どうすればいいのかわからず・・・・・・私はされるがまま、身を委ねた。

雷「○○・・・・・・」

その手は、とても熱かった。

雷さんの体からは、血と錆びの匂いがしている。

私の知らないところで繰り広げられていたであろう出来事に、胸が苦しくなった。

○○「大丈夫ですか? 雷さん」

雷「・・・・・・ああ。不思議だ。 お前の顔を見た途端、気が抜けたように安心してしまった。 女に・・・・・・こんな感情を抱いたことなどない」

低くかすれた囁きを私に吹き込んで、雷さんはゆっくりと体を離した。

切なそうに潤んだ瞳に、ひとかけら強さが戻る。

雷「領主は深手を負ったが無事だ。 しかし、今度またすぐに別の領が襲われることだろう。 武力を少しでも増強するため・・・・・・争いは起こり続ける。 俺は・・・・・・やはり、間違っているのか?」

雷さんはそこまで言って、緩くかぶりを振った。

(雷さん? どういう意味・・・・・・?)

うかがい知ることのできない彼の胸中に、ますます胸が締め付けられる。

(何か私にできることがあればいいのに・・・・・・)

雷「本当に、こんな危険な時にお前を呼びつけ申し訳なかったと思っている。 一刻も早くお前を帰さなければな」

わずかに微笑んだ彼のその表情に、胸が軋んだ。

(笑っていても・・・・・・あのときと全然違う)

(私は・・・・・・)

○○「・・・・・・私に何かできることはありませんか?」

雷「・・・・・・お前に?」

○○「はい」

それ以上言葉は発さず、私は雷さんの目を真っ直ぐに見つめた。

雷「・・・・・・本当におかしな女だ。お前に関係のないことだろう」

○○「恩人には礼をするべきだと、雷さんが」

笑いかけると、驚いたような顔をしていた雷さんがやがて苦笑した。

雷「ならば・・・・・・もう少しいてくれるか」

○○「はい」

それから私達は、この状況を打破するための方法を画策し始めた。

そんなある日のこと・・・・・・

家臣「雷様! 有力な情報が」

雷「何! 早く申せ」

家臣「はっ。反乱を引き起こした男ですが、実は今、重い病を患っており、重病とのこと」

雷「病・・・・・・だと?」

その後、病名や症状を詳しく聞いた雷さんの表情は、いつになく険しいものになった・・・-。

 

 

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