出国途中に襲われてしまい、また城へ逆戻りとなった。
(一体、何が起こっているんだろう・・・・・・)
城に戻ってすぐに、他の領主が反乱軍に襲われたとの報せが入り、
雷さんは飛び出して行ってしまっていた。
(雷さんは、大丈夫なのかな)
無事であってほしいと祈りながら、私は彼の帰りを待ち続けた・・・-。
・・・
・・・・・・
雷さんが城へ戻ったのは、それから数日後のことだった。
雷「・・・・・・」
○○「雷さん!」
その姿を見るや否や、私は彼に駆け寄った。
雷
「留守中、城では何事もなかったようだな」
○○「はい、雷さんも無事で、本当によかったです」
胸が詰まる思いで、雷さんを見つめる。
雷「・・・・・・」
雷さんは、そっと切なそうに表情を歪めた。
○○「雷さん・・・・・・?」
彼の顔を覗き込もうとしたとき・・・・・・
○○「!」
雷さんの大きな手が私の頭の後ろに添えられ、そのままぐいと引き寄せられた。
(雷・・・・・・さん・・・・・・?)
彼の厚い胸に、私の顔が触れる。
どうすればいいのかわからず・・・・・・私はされるがまま、身を委ねた。
雷「○○・・・・・・」
その手は、とても熱かった。
雷さんの体からは、血と錆びの匂いがしている。
私の知らないところで繰り広げられていたであろう出来事に、胸が苦しくなった。
○○「大丈夫ですか? 雷さん」
雷「・・・・・・ああ。不思議だ。 お前の顔を見た途端、気が抜けたように安心してしまった。 女に・・・・・・こんな感情を抱いたことなどない」
低くかすれた囁きを私に吹き込んで、雷さんはゆっくりと体を離した。
切なそうに潤んだ瞳に、ひとかけら強さが戻る。
雷「領主は深手を負ったが無事だ。 しかし、今度またすぐに別の領が襲われることだろう。 武力を少しでも増強するため・・・・・・争いは起こり続ける。 俺は・・・・・・やはり、間違っているのか?」
雷さんはそこまで言って、緩くかぶりを振った。
(雷さん? どういう意味・・・・・・?)
うかがい知ることのできない彼の胸中に、ますます胸が締め付けられる。
(何か私にできることがあればいいのに・・・・・・)
雷「本当に、こんな危険な時にお前を呼びつけ申し訳なかったと思っている。 一刻も早くお前を帰さなければな」
わずかに微笑んだ彼のその表情に、胸が軋んだ。
(笑っていても・・・・・・あのときと全然違う)
(私は・・・・・・)
○○「・・・・・・私に何かできることはありませんか?」
雷「・・・・・・お前に?」
○○「はい」
それ以上言葉は発さず、私は雷さんの目を真っ直ぐに見つめた。
雷「・・・・・・本当におかしな女だ。お前に関係のないことだろう」
○○「恩人には礼をするべきだと、雷さんが」
笑いかけると、驚いたような顔をしていた雷さんがやがて苦笑した。
雷「ならば・・・・・・もう少しいてくれるか」
○○「はい」
それから私達は、この状況を打破するための方法を画策し始めた。
そんなある日のこと・・・・・・
家臣「雷様! 有力な情報が」
雷「何! 早く申せ」
家臣「はっ。反乱を引き起こした男ですが、実は今、重い病を患っており、重病とのこと」
雷「病・・・・・・だと?」
その後、病名や症状を詳しく聞いた雷さんの表情は、いつになく険しいものになった・・・-。