月6話 おやすみなさい

スタジオ見学を終えて…―。

ウィルさんは、私を城にある客室へと案内してくれた。

ウィル「今日はここに泊まるといいよ」

ぐるりとなんの変哲もない洋室を見渡す。

○○「……お部屋は普通で安心しました」

ウィル「さすがにね! けど君が普通じゃないのがいいなら、そっちに案内するよ?廃屋風コテージとか、呪われたマンション風とか、あと他には……」

○○「だ、大丈夫です」

慌てて左右に首を振ると、ウィルさんは声を出して笑った。

ウィル「冗談だよ、君が本当に嫌なことはしないよ」

優しげな声で言われて、彼から目が離せなくなる。

(最初の印象と全然違って見える……)

今日一日の出来事を思い出す。

少し人とは違うセンスをしているけれど、仕事に対しては真面目で、実は本物の血が苦手……

(ホラー映画は苦手だけど、この人がどんな映画を撮っているのかは、気になる……)

ウィル「どうしたの? 僕のこと見つめたりして」

○○「いえ、その……」

ふっと表情を緩めたウィルさんが、私の手を握る。

ウィル「じゃあ、今日はゆっくり休んで。明日からちょっと最後の仕上げで構ってあげられなくなるけど……君のためにいいものを用意してるから、楽しみに待っててね」

○○「はい、おやすみなさい」

ウィル「おやすみ……」

優しく言い残して、彼は部屋から去っていった…―。

 

 

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