太陽7話 視察先での凶事

それから数日後…-。

ミリオン「遥か遠くから、ようこそお越し下さいました。 我が国での滞在中は、どうぞごゆるりとお寛ぎください」

あの夜、執務室でミリオンくんの本音を聞いた後も……

公の場に出ると、彼は完璧な王子様としての振る舞いを見せていた。

けれど、来客が去り、ひとたび私と二人きりになれば…-。

ミリオン「あの使者は食わせ者だな。 僕に取り入る形を見せて、この国を配下に置こうとしている」

鋭い観察眼で、各国の目的を見抜いてしまう。

〇〇「そうなんですか? いい雰囲気に見えましたけど……」

素直な意見を述べると、ミリオンくんが苦笑いを浮かべる。

ミリオン「そんなふうだから、〇〇は僕なんかに付け込まれるんだよ」

困ったようなその笑顔は、不器用な優しさを帯びていて……

あの夜、耐えきれずに本音を吐露した彼の、苦しげな瞳を思い出させた。

……

その日の午後。

私はミリオンくんに連れられ、街の視察に出かけていた。

〇〇「今日はどこを回るんですか?」

ミリオン「これから福祉施設を訪問して、その後はサロンの音楽会に……」

ミリオンくんと肩を並べ、彼の話に耳を傾けていると…-。

女性「ミリオン様……」

暗い目をした女性が、ふらりとミリオンくんの前に現れた。

ミリオン「貴方は……」

―――――

女性『ひどいですわ……この間は、私だけだと仰っていたのに』

女性『トロイメアの姫ですって? 立場を利用し、ミリオン様に取り入ろうとしているのではなくて?』

―――――

(この人……あの時の!!)

女性「よくも……私に恥をかかせてくれたわねっ……!」

〇〇「!!」

女性がナイフを取り出し、ミリオンくんに向かって斬りかかった。

(危ないっ!)

そう思った瞬間には、ミリオンくんの前に飛び出してしまっていた…-。

 

 

 

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