太陽7話 看病

翌朝…-。

雨露が残る庭を、太陽がキラキラと照らしている。

〇〇「……キースさん?」

朝起きるとキースさんが手ずから朝食を用意してくれていて、私は驚きに目を瞬かせた。

キース「食べられる味にはなっているはずだ」

〇〇「もしかして、キースさんの手作り……?」

キース「……不満か」

〇〇「いえ、そんな……! い、いただきます」

コーンスープをスプーンですくい、そっと口に運ぶ。

(嬉しい……でも、どうしたんだろう)

ふと横を見ると、キースさんが心配そうな眼差しでこちらを見つめていた。

キース「……どうだ」

〇〇「お……おいしいです」

キース「そうか」

どこかホッとしたような彼の口調に、私は思わず微笑んでしまった。

キース「何だ」

〇〇「いえ、嬉しくて」

キース「……お前が雨に濡れたのは、二日とも俺のせいだからな」

ほとんど聞こえないぐらいの声で、キースさんがつぶやく。

〇〇「キースさん?」

キース「……いい、気にするな。それより、氷枕を変えよう」

〇〇「いえ、キースさんにそんなことしていただく訳には」

キース「いいから」

そう言って私の頭の下から氷枕を取り出すと、キースさんは誤ってそれを掛布の端にこぼしてしまう。

キース「悪い……」

〇〇「いえ……」

キース「……俺は人を使う側の人間なんだ。こういうことは、不慣れなんだ」

キースさんは恥ずかしそうにそう言って、視線を逸らした。

(耳が、赤い……)

その姿に、思わず頬が緩んだ。

(初めは怖かったけど……優しい人なんだ)

(でも、やっぱりこんなことしてもらうのは申し訳ない)

(お詫びをしなきゃいけないのは、私の方なのに)

焦りを感じながらも、私の心は暖かかった。

……

それから数日後…-。

すっかり体調も回復し、私はキースさんの姿を探して庭を走っていた。

(これでまた、キースさんのお世話ができる)

(たくさん看病してもらったし、お返ししなきゃ)

〇〇「キースさん」

ベンチで読書をするキースさんの姿を見つけ、私の声が弾む。

キース「もういいのか?」

〇〇「はい、本当にありがとうございました」

キース「そうか」

〇〇「何か御用はありませんか?」

勢いよく尋ねると、キースさんが驚いたように瞳を瞬かせる。

キース「お前……。 いつまで、そんなことをしているつもりだ」

怒ったようにそう言うと、キースさんは私の顎をそっと持ち上げた…-。

 

 

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