第4話 楽しい時間はもうすぐ……

社までやってくると、私達は二人並んでお詣りをした。

アインツ「ムムム……!」

真剣にお詣りしている彼を横目で覗き見る。

(これが終わったら、もうお別れなのかな……)

そう考えると胸に寂しさが押し寄せる。

(アインツさんと一緒にいると、本当に楽しい。この時間がもっと長く続けばいいのに……)

思わずため息が漏れ、私は唇を閉ざした。

アインツ「よし!」

お詣りが終わったのか、アインツさんが顔をあげた。

アインツ「○○はお詣りは終わったのか?」

○○「はい」

アインツ「よし!これで一年安泰だな!」

○○「アインツさん、一緒に来てくれてありがとうございました」

アインツ「それはこっちのセリフだ。一緒にいられてよかった!」

○○「あの……戻る時もお店を見てもいいですか?」

少しでも長く一緒にいたくて、私はそんな事を彼に聞いてみる

アインツ「もちろんだ!」

彼は笑顔で頷く。
けれど、すぐにハッと目を見開いた。

アインツ「いや……その……ちょっと待ってくれ!」

○○「アインツさん?」

アインツ「ちょっと忘れ物をしてきた!」

○○「忘れ物?」

アインツ「そうだ!こ……これは、取ってこないと」

○○「どこに忘れたかわかるんですか?」

アインツ「あ……ああ!わっ、わかる!わかるぞ!オレの第7の能力を使えば!」

○○「じゃあ、帰りながら取りに行かないと……」

アインツ「いや、そうじゃないんだ!」

○○「え……?」

アインツ「○○はここで待っていて欲しい!まだ時間はあるか?」

○○「はい……」

アインツ「それならえっと……」

アインツさんは視線を彷徨わせる。

○○「アインツさん?一緒に行きます」

アインツ「ええ!?あ、それは嬉しいんだが……嬉しいが、困るというか……」

○○「アインツさん、本当に大変なら言ってください」

アインツさんは覚悟を決めたように一度瞳を閉じると、私の肩に手を置いた。

真剣な瞳が私の瞳を射抜く…―。

アインツ「オマエは本当に優しいな!そんなに心配するな!とっ、とにかくここで待っていてくれ!すぐに戻ってくる!光の速さのように一瞬だ!」

そう言うと、アインツさんはその場から走り出した。

小さくなっていく彼の姿を見つめながら、私は熱くなった頬に手を添えた。

(まだ、一緒にいていいんだ……お詣りの効果かな?)

私は社を見上げた。

澄み切った空気が、私の心を軽くしていくように思えた…―。

 

 

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