第1話 年初めの出会い

こよみの国・九曜 奏の月…―。

年初めの今日、私はこよみの国へとやって来た。

年に一度、この国には年の始まりを祈るために、各国の人々が訪れるという…―。

(まるで初詣みたい……)

通り沿いには出店が立ち並び、人々の活気で賑わっていた。

その時…―。

??「○○!」

○○「え……?」

名前を呼ばれて振り向くと……溢れかえる人々の中、アインツさんが私に向けて手を振っていた。

○○「アインツさん……!」

人波をかき分けて、彼が私の方へとやって来る。

アインツ「驚いた!まさか、こんな所で会うとはな!」

○○「私もです」

アインツ「新年早々、なんて縁起がいいんだ!」

そう言って、アインツさんは満面の笑みを浮かべる。

アインツさんは、時の国・フォーラントの王子様。

いつも明るくて、自信に溢れていて……少し大仰な口調で話す彼といると、元気をもらえるような気がしていた。

(元気そう……こんなに喜んでくれるなんて、嬉しいな)

相変わらずのまぶしい笑顔を向けてくれる彼に、私は思わず心の中でそうつぶやく。

アインツ「○○は、一人なのか?」

○○「はい。お詣りだけして帰ろうと思っていたので。まさかこんなに賑わっているとは思いませんでした」

アインツ「世界中の人間が集まるからな」

アインツさんは顎に手を当てて考えこむ。

(どうしたんだろう……?)

アインツ「よし!オレと一緒に回ろう!」

○○「え……?」

アインツ「一人で回るのは大変だからな!オレがいれば華麗な足さばきでこの人込みもすり抜けられるぞ!」

○○「いいんですか?」

アインツ「いいんだ!オレも今は一人だからな!」

○○「……今は?」

アインツ「それにせっかく会えたんだ!そうだろう?○○!」

彼は力強い手で私の手を握った。

○○「はい……!」

アインツ「よし!」

『今は』という彼の言葉を少し疑問に思いつつも、私は彼の手の温かさに胸をときめかせていた…―。

 

 

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