第4話 真琴の狂気

(なんて・・・・酷い・・・・)

蝶が糸に絡め取られていく、蜘蛛の巣から目をそらす。

真琴君に見据えられ、じっとりとした汗が額に浮かんだ。

真琴「・・・・」

薄く笑みを浮かべる真琴君が、まだ蝶がたくさん捕われている虫籠に視線を向けた。

籠の中の蝶は、自由を求めるように美しい羽を動かしている。

真琴「・・・・出たいってさ。君が出してあげなよ」

そう言って、真琴君は私を虫籠の方へ促す。

○○「・・・・嫌・・・」

首を横に振りながら、私は後ずさった。

真琴「そんなこと言わないで、ねっ♪」

真琴君は私の手を掴んで、虫籠の蓋に触れさせようとする。

○○「・・・・嫌っ!!」

思わずその手を乱暴に振り払ってしまった。

真琴君は一瞬、目を丸くしたけれど・・・・ー。

真琴「・・・・いいねその顔。跪かせたくなる」

彼はにやりと残忍な笑みを浮かべ、私の目を真っ直ぐに見つめる。

(え・・・・!!)

真琴君の目が怪しく光ったような気がすると・・・・

突然、体の自由が利かなくなってしまった。

真琴「あはははっ!!!」

○○「いったい・・・・あなたは・・・・」

真琴「すごいでしょ!父さんと母さんが死んだ時にね、この力に目覚めたんだ!」

○○「死ん・・・だ・・・・?」

真琴「そうだよ。僕の家族は、大統領制になった時に殺された。 側近の裏切りでね」

(・・・・!)

真琴「その裏切り者が、今の大統領ってわけ」

○○「そんな・・・・」

真琴「だからね・・・・僕は、この力であいつらに思い知らせてやりたいんだ。 苦しみに歪むあいつらの顔・・・・想像しただけで楽しいよね!あははっ!!」

○○「どうして、私を呼んだの・・・・?」

真琴「大統領制になってたかだか5年、国民は、まだ完全に王政を忘れたわけじゃない。 そんな時にトロイメアのお姫様が僕と一緒にいるところを見たら、国民はどう思うかな」

○○「・・・・!」

真琴「僕は、奴らから全てを取り上げたいんだよ。 簡単になんか楽にしてやらない。苦しめて苦しめて、取り上げてやる。 僕から全てを奪ったんだ。当然の報いでしょ?」

淡々と真琴君は話し続ける。

(利用・・・・するつもりだったんだ)

真琴「あっ!いいねその顔!・・・・僕好みだ」

真琴君は嬉しそうに、私の顔を覗き込む。

真琴「まあ、悪いようにはしないからさ!僕の復讐に、ちょっと協力してよ」

言葉がどうしても出てこなくて、真琴君を見つめることしかできない。

真琴「何か言ってくれないと、わかんないなあ~」

真琴君は、楽しそうにつぶやいた。

真琴「君、いいね・・・・」

私の首筋が真琴君の指でなぞられ、背にぞくりとした感覚が走る。

○○「っ・・・・」

真琴「僕、嫌だと言ってる相手を屈服させるのが、大好きだからさ」

真琴君の瞳がまた怪しく輝き出すが・・・・

○○「・・・・っ!」

私は目をぎゅっとつむり、唇を噛んだ。

鈍い痛みが走ると同時に、体がふっと自由になるのを感じる。

真琴「・・・・!」

その瞬間、私は真琴君の部屋から飛び出した・・・ー。

 

 

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