月7話 冷たい眼差しと、違和感

スラムの男の子のことを伝えると、エドモントさんの表情がさっと変わった。

けれどすぐに、いつもの表情に戻って……

エドモント「君は本当に、彼らのことをいつも気にかけて……。最初からそうだっだよね。この国へ来てすぐに、スラムの人達と関わっていた。君はきっと、優しすぎるんだね」

(違う。いつもの表情なんかじゃない……いつもより、すごく冷たくて……エドモントさん、どうして?)

エドモント「そんなに気になる?彼らのこと」

冷たいだけではない、悲しみに揺れる瞳に胸が苦しくなった。

○○「どうして……どうしてですか。エドモントさんも、本当は気にかけているんですよね?」

エドモント「……」

エドモントさんが押し黙った時…―。

男の子「王子様ーっ!エドモント王子様……っ!」

あの男の子の声が近づいてきた。

振り返ると、息を切らせながらこちらへ走ってきている。

(エドモントさんを見つけて?)

兵士「おい、王子に近づくな!」

エドモント「やめろ」

男の子を追い払おうとした兵士さんを、エドモントさんは手で静かに制した。

男の子「どうかお願いですっ!僕のおかあさん、たすけて……。大変なんだ。すごく病気が悪くて……だからここをなくしたりもしないで!お願い、たすけてください!!」

(こんな小さな男の子まで、取り壊しのことを知って……)

男の子は必死になってエドモントさんに取すがる。

そんな男の子の様子を、エドモントさんは厳しい眼差しで見下ろしていた…―。

 

 

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