不思議の国・ワンダーメア マッドネス・・・・ー。
(ワンダーメアにも、冬があるんだ)
頬を冷たい空気が掠める中、私は天高くそびえ立つビルを見上げる。
そのビルにある『メゾン・マッドネス』の看板は半分雪に埋もれていた。
(久しぶりに帽子屋さんから便りがあったから来てみたけど・・・・)
彼の店に入り店員に話しかければ、屋上の空中庭園へと案内された。
けれどその庭園は・・・・ー。
(嘘・・・・ここだけまるで春みたい)
辺りを見ると、手入れの行き届いた庭で花々が美しく咲き乱れている。
マッドハッター「おや、これはお嬢さん、ようこそ私のお茶会へ」
○○「帽子屋さん・・・・」
彼は庭の中央でガーデニングチェアに腰かけ、優雅にティーカップを傾けていた。
○○「どうしてここだけこんなに暖かいんですか?」
マッドハッター「さあ? ここは不思議の国ですから・・・・」
謎めいた笑みを浮かべて椅子から立ち上がると、私に手を差し出す。
マッドハッター「そんなことよりも、どうかこの私とお茶をご一緒しませんか?」
○○「えっ・・・・はい・・・・」
彼の長く美しい指先に触れた瞬間、私は驚きに手を引っ込めた。
(氷みたいに冷たい・・・・やっぱり冬なんだよね)
疑問は何一つ解決しないまま・・・・私は不思議な空中庭園で、
彼の用意したお茶会の席へと着いたのだった・・・・ー。